第10話 怖いつばさ姐さん
フーッ、気合を入れて車から降りる。相変わらず埃っぽい。大坂は苦手だ。
> 店に入ったらまだ昼下がりだと言うのにもう既につばさと連れの丸坊主が二
人、バクバクと肉を貪り食っていた。
> 店内は円テーブルが一〇セット有りテーブルの中央にジンギスカン用のグリ
ルパンが置いてあり傾斜のあるパンで肉を焼き油を下の溝に落とす仕組みになっ
ていて、それを良い事にトングで肉を鷲掴みし、グリルパンの天辺に乗せて一気
に焼く下品な焼き方をしていた。
> グリルパンの周りには焼肉の垂れが入った小皿が散乱しており、キムチも所
々堕ちていて、生中の空ジョッキが5個くらい散乱して飲み掛けのジョッキやワ
ンフィンガーくらい残ったビールの中に投げ棄てた様なタバコの吸殻が無残にも
溺れ、煙草の葉がバラバラに崩れてフィルターだけ浮いていたし、最早ビールな
のかニコチンなのか判別付け難い液体がどす黒く濁っていた。酒池肉林の夢の跡
の様で、ライオンが生きたまま食べ残したガゼルの死骸の様でマトモに眼を遣れ
ないキープアウト状態の円テーブルに和やかに座っている極道にはヨチヨチ歩き
の赤ん坊の頃が想像出来なかった。
> 「焼肉食べ放題♪」の歌に合わせる様にリズム良く上ハラミや上ロースを箸で
掴んで口にポイッ、口にポイッ、口にポイッ!飲み込んでる? 丸で腹を空かし
たハイエナ、人間ならば大食い選手権の様だった。アカセンも食っていた。それ
は俺の大好物・・・。と、思っていた。
> 連れの坊主男はつばさの事を「姐さん姐さん。」と呼び、明らかに上下関係
が分かった。
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