第3話
それでもルーは彼のことを応援していたわ。
1年くらいたった頃かしら、彼のバンドが自主製作で1枚目のアルバムを出して、それのツアーに回ったりして、あまり会っていない様子。次のアルバムへの製作費を稼ぐのが大変らしい。
それをどうにかしようとルーは音楽系の仕事をしているパパに、彼のバンドを紹介した。パパからロック系に強い事務所を紹介されて彼らの活動が軌道に乗り始めた。と、ルーが嬉しそうに語っていた。
アタシは彼女が利用されてるんじゃないかと心配になったりもした。
でもルーは、もし利用されてたとしてもいいと言っるの。彼らはすごくいいバンドで絶対有名になるからって。
そしてそれからルーは家にいることが多くなった。アタシは嬉しいけれど、きっとなにかあったのね……。彼の話をまったくしなくなったわ。
久々に彼の名前を聞いたのはそれからさらに1年後くらいだったかしら。
彼らのアルバムがすごく売れて人気者になったって、喜んでレコードを聴かせてくれたわ。それと彼には同世代の新しい彼女ができたってこと。いがいにもルーはそれほど悲しそうじゃなかった。彼のバンドは世間から認められる日がくると強く信じていたから、それを目撃出来て、そちらの嬉しさが勝ったのかもね。
そしてまた2年くらい月日がっ経った頃、彼の名前を聞くことになるの。
彼が亡くなったって……。
もう連絡はとっていなかったけど、さすがにルーも落ち込んで何日も泣いてたわ。
小さいアタシはただそばにいることしかできなかった。
彼のお葬式に行ったルーはタバコを吸いながら帰ってきた。彼にタバコは吸うなと言われていたのに。
そして、家から出て地元から離れ1人で暮らすようになったの。
アタシをおいて行ってしまった。
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