お兄ちゃんは私を甘く戴く

Bu-cha

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「癒し・・・。」




加賀製薬の研究室、そこに今日も入りウロウロと歩き回る。

そんな私を誰も気にすることなく、今日も仕事に集中している。

カメラを片手に持っているのに、誰も気にすることなく。




そんな姿にニヤニヤしてきた顔を我慢しないまま歩き回っていると・・・




「鮫島(さめじま)さん、編集でよろしくお願いしますね。」




と、研究本部長が優しく笑いながら言ってきた。




「最後にまた確認して欲しいです。

他の部署の人達は絶対にちゃんと確認してないけど、ここにはちゃんと確認して貰うように副社長から言われてるので。」




「うん、問題ないか確認します。

あとは経理部かな、あそこにもちゃんと確認して貰ってくださいね。」




その返事を聞いてから頷き、私は仕事中の社員さん達に少し声を掛けていく。

それにはちゃんと対応してくれているのは、私が広報部でバイトをしているから。




加賀製薬という会社がどんな会社なのか、どんなことをしているのか、どんな人達が働いているのか。

それを多くの人達に知って貰い、薬だけでなく会社自体も知って貰うことが私のバイト内容。




1月にこの会社でバイトを始め、今は5月。

4月で大学4年生になってからは、シフト制ではなく週3日の固定になりバイトをしている。




「加賀さん、眼鏡外して~!!

加賀さんファン増えてるから~!!」




副社長である小町さんの婿養子、加賀さんにそうお願いすると・・・

加賀さんは困ったように笑いながらも眼鏡を外してカメラの方を見てくれた。




「加賀さん、マジで癒されるよね。」




私のせいなのかお陰なのか、社内でも加賀さんファンが急増中らしい。

それまではあまり眼鏡を外さなかったらしく、私がアップしている動画を女性社員達もせっせと再生しているそう。




社外のファンだけでなく社内のファンの為にも、今日も加賀さんの眼鏡がない姿を頂きました。




「理子(りこ)ちゃん!

俺が社内で理子ちゃんにナンパしてる姿入れないでよ~!!」




研究室を出て営業部のフロアをウロウロしていると、前回アップした動画に載せた男の人が話し掛けてきた。

それを・・・カメラを回しながら見る。




「※つけて、営業部の成績トップ5の人の息抜きは社内でのナンパ。

ナンパのテクニックはそこまでないから彼女募集中ってテロップ入れて、大々的に彼女募集してあげたじゃないですか。」




「・・・それは・・・まあ、ありがとう。

恥ずかしいけど、うん・・・。」




「公式SNSの方で“普通に格好良い”とか“タイプ”とかコメントされてますよ!」




「・・・マジで?」




「はい、なので次はお仕事を頑張る姿を入れてみようと思いますので、お仕事ファイトです。」




私がそう言うと、営業部の成績トップ5の人は真剣な顔で深く頷いた。




それに私は笑顔で頷くと・・・




「理子ちゃん・・・俺、すっげータイプなんだけど!!やっぱりダメ!!?」




そんな嘆きの姿も、しっかりと頂いた。

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