転生

Rotten flower

第1話

「こんな人生……」

男はそう道路上で嘆いていた。残金は80円。ちょっと遊んでいたら帰れなくなっていた。男の持っていた花束が落ち、花弁が1、2枚程度落ちた。

そんな男にさらに傷をつけるようにそこに車がやってきた。携帯電話をいじりながらの運転、その後の結末はもうおわかりだろう。

車の白いボディはあかに染められ、男の顔は青に染まっていた。

意識が遠のく感覚がする。悲鳴が聞こえ、花と自分の血液が混じったどす黒い匂いが鼻に直に来る。道路の凹凸形状が分からないほどに、目の前に何があるかもわからなく、そして、花を感じられなくなった。


「あ、生まれましたよ。」

無事に生まれてきてくれた。

「かわいい男の子ですよ。」

子供の願望はあまりなかったがいることで人生の幸せが二倍、いや三倍になるとポジティブに考えられれば苦を感じることはないだろう。

子供は約45秒に一人生まれているらしい。人生のスタートがそれだけのペースで始まっていると知れば驚きだろう。


周囲は白い空間。喪服を着ている人がたくさんいる。きっとここは死後の世界なのだろう。神様がせっせせっせと仕事をしているが、それでも裁ききれない量だ。

「もう10年も待ってんだよ。」

「早くしろよ。」

列に並んでいる途中の男たちが喋った。こうしている間にも色々な人が運ばれて列に並んでいく。

1/3人がどこかに投げられていく。

今日もまた一人生まれて、また一人オロされる。

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転生 Rotten flower @Rotten_flower

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