最後の独裁者
平中なごん
一 独裁者
「──陛下、総攻撃の準備、すべて整いました」
我らが野望を成し遂げ、この世界の趨勢を決める最後の戦い……今回は特別に自ら海を渡り、前線基地を置いたオキナワで作戦本部に詰める我に、総司令官が厳かな声でそう報告をする。
「うむ。今日こそ旧時代の遺物どもを壊滅させ、人類史に新たな1ページを刻むこととしよう……全軍、攻撃開始!」
帝国軍の元帥でもある我は、白手袋を着けた右手を前にかざすと、朗々と号令を発して最終決戦の火蓋を切って落とした。
我は汎地球合衆帝国初代皇帝ジョーゼフ。この地球上の大半を占める大帝国の国家元首だ。
少し前までは連邦国の大統領であったが、現在は共和制から帝政に移行し、即位宣言もして皇帝を名乗るようになった。
古代ローマ、モンゴル、オスマン・トルコ、スペイン、大英帝国、アメリカ合衆国…と、歴史上、さまざまな大帝国が出現しては消滅していったが、おそらく我が帝国が歴史上最後の、そして、未来永劫続く最後の大帝国となるであろう。
そして我は、人類史上最後の独裁者でもある……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます