あなたの願いが叶いました

@emi8

第1話

神様、お願いします。

どうか、彼に逢わせて下さい。

ほんの少しだけでいいのです。

ほんの少しだけ・・・


私は時々、空を見上げては、

叶わぬ願いと知りながらも、こうして、願いを口にしてみる。


もう一度だけ、彼に逢いたい と。


そうして、

たくさんの大粒の涙を流した後は、

いつの頃からか、こんな自分を冷笑するようになった。


神様?

そんなもの、いないんだよ、きっと。

もしも、神様がいるのなら、

彼をここから連れ去ってしまうようなことはしないもの。


目に見えないものを肯定しながら否定する。

いつの頃からか、私は、そんな矛盾を抱えるようにった。


大切な人が、この世からいなくなってしまうこと。

突然に、辛い現実と向き合わなければならなくなってしまった私は、

行き場のない悲しみを閉じ込めるかのように、冷たい涙を流す。





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