龍王の玉

やんばらぁ尾熱

第1話予定外の勇者転移で勇者かも知れない男とされる

「妾が龍王になり、早500年。

龍王になりたての頃は女、幼児と侮り皆龍王の玉の力を欲さんと挑み掛かり全て返り討ちにし200年前から皆、妾に恐れおののき誰も妾を倒そうとはせぬ。ヒマじゃ、邪神も悪魔も邪竜も魔王も邪精霊も人族も獣人も何をしておるのじゃ。

暇で暇で詰まらぬのう。

妾の妹や弟達は、眠りに付いたり、転生をしたり、仕事が忙しい者も龍眼で見ると大変そうだな。

応援や助けに行きたいが”龍王の玉“を護るガーディアンとしての妾がここから、動けぬし離れるわけにはいかぬ。

実体を成さぬ光の玉である”龍王の玉“古代の叡智、数億年・数世代の龍族・龍王の魔力、力、MP、HP、精神p、精神波、精神力を含むステータス、龍のスキル、古代魔法、龍魔法、固有スキル、ユニークスキル、エクストラスキル等全てが詰まっておる”龍王の玉“がこの地に留まっているからには、ガーディアンの役目の妾には何処にも行けぬ。

この”龍王の玉“有っての無敵の妾じゃ。

ヒマじゃ既に200年誰とも話して居らぬ。

ヒマじゃ、皆この力を諦めたのかのぉ。

むむっ!!、何だこの魔力や魔素、魔波の流れは•••、フッフッフッ人族め久々に召喚の儀式を行っているな。

妾の龍のスキル龍眼の中の千里眼にて覗いてやる。

見る事は地中だろうが、海の底だろうが、星の裏側だろうと見る事は出来るが、声を掛ける事も話を聞く事も出来ぬのが難点じゃな•••••。」

ー ー ー ー ー ー ー

ほんの少し前の俺

村上タクマ 男 独身 39歳 大雨の災害で両親が亡くなり天涯孤独生活が1年目になり、やっと落ち着いた生活が送れるようなっていた。

今日も生きる為、アルバイトの仕事を2つ掛け持ちして疲労コンバイでアパートに帰って来ていた。

今の1番の楽しみは、ゲームのRPG。

お金が無い為、古いゲーム機をリサイクルショップで見つけ、近くにあったゲームも数本購入して、はまっていた。

明日は久々の2ヶ月ぶりにもなる休みの為、今晩は徹夜を決め、食料等も買い占め、テレビ前で準備をしていたら、テレビから魔法陣が飛び出て来て、目の前で光る。

ゲームのディスプレイ画面かな?と見ていると“ピカッ”と光り意識が遠退いて行く。

〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜

異世界のウェイン神聖国家の城の地下、㊙魔法室にて、男の神官が言う。

「召喚魔法成功です。4名の力ある者の召喚に成功しました。実体化魔法の呪文をお願いします。」

魔法陣の周りには50人程の杖を持つ魔導師、50人程の錫杖を持つ神官が魔法陣の周りを囲み、光る魔法陣を注視し魔法の呪文を唱えていた。

その後ろには150人程のウェイン神聖国家の聖闘士の騎士が剣や盾、又は槍を持つ者が鎧をフル装備で所狭しと待機していた。

神官長を務めるこの国の第3王女のミーサ•サン•ウェインが最後の仕上げの召喚実体化魔法の決めの呪文を唱え、召喚の女神“龍宮光神”に感謝の言葉を述べていた。

魔法陣の中に1人1人光に包まれながら、現れる若い男女、13〜15才位の学生服を着けた人が現われる度に盛大な歓声が起こる。

光の中から現れた男女も口にする。

「ここが、女神様が言っていた異世界か。チート能力をあげるから、この国、この世界を救って欲しいと言っていたな。おもしれー、俺等に任せとけ。」と納得して女神様から送られた旨の事を言う4人が表れた後、周囲から拍手喝采の大歓声が起こった。

その時、召喚の魔法陣が今迄よりも強烈な光を発し、5人目の若返った13才の村神タクマが現れる。しかし俺、村神タクマはその女神様とやらには合っていなかった。

5人目が、イレギュラーで現れた為、地下の㊙魔法室内はざわついていた。

何故ならギリギリ4人を召喚する魔力しか残っていなかった筈なのに、5人目が出て来た。

5人目は呼んでもいないのに、こちら側に反応も無かったのに明らかに4人とは魔法陣の輝き方も違っていたからだ。

〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜

俺、村神タクマにしても、テレビの前にいたのにいきなり大勢の人前に居てパニックになっていた。

「えっ、えっ、何これ、どうなってんの?これは夢かな?疲労が溜まって幻覚でも見ているのかな?」

とキョロキョロ周りを見ていたら、近くにいた金髪の長い髪の色白の美少女、13才程の白衣を着け錫杖を持った神官らしき人が皆に言う。

「皆さん、お静かに」そう言って、錫杖で地面を叩く”シャンシャンシャン“

その一言で“ピタッ”と静かになった。

魔法陣に居る俺と他の学生服の4人に向けて言う。「私はこの国のウェイン神聖国家第3王女の神官長を務めてます。皆様からはミーサ神官長と呼ばれてます。以後お見知り置き下さい。

リュウグウ光神様に召喚されました勇者様方、先ずは召喚にお答え、お越し頂き感謝いたします。

リュウグウ光神様にお力添えを頂き、召喚致しましたのでリュウグウ光神様から、何らかのパワー、スキル、特別な何かを授かりお持ちかと思われます。

その力でこの国の窮地をお救い下さい。

今にも、この国が人族を始めエルフ族、ドワーフ族、小人族、獣人族全般が滅ぶかも知れない重大な危機が迫っています。

勇者様方、ステータスオープンと唱え、ステータスを私共にご提示願います。」

俺以外の4人は、直ぐ様ステータスオープンと唱えるが、俺村神タクマだけが、「?????」で訳が分からない。

言われるままに俺も「ステータスオープン」と唱えると、目の前にテレビゲームの様な画面にステータスが、表示される。

村神タクマ (男) 13才 人族 称号=異世界勇者かも知れない男 状態=正常 職業=アルバイター 加護=リュウグウ光神 LV=1 HP=50/50   精神P=1300/1300 MP=10/10 力=12 魔力=5 精神波=10000 精神力=950 敏捷=7 知力=9 防御力=6 運=70

スキル=白魔法、言語理解、アイテムボックス(無限•時間停止)

固有スキル=MAP

エクストラスキル=生活魔法、★?.★?.★?.★?.★?

と書かれていた。

年齢が13才とあり、自分の手足を見ると、太っていた自分がスリムになり、身体が軽い。身長も150cmだったのが、170cm程になり、39才の俺が若返っていた。夢かと思いついホッペをツネって見ると痛みがある。現実なんだと思われる。

元の世界に未練もないので、まア良いかと思う。

異世界への召喚のようで、ゲームの様なワクワク、ドキドキ感がするし、チート能力が与えられているとの事なので、どれがそうなのかなとワクワクする。

ミーサ神官長がステータスとスキルを1人1人に聞いて行き、書記官が記入していく。

ー ー ー ー ー ー ー

山中カケル 男 15才 人族 称号=異世界勇者 状態=正常 職業=槍の勇者 加護=リュウグウ光神 LV=1 HP=500 MP=300 力=150 魔力=40 敏捷=45 知力=50 防御力=40 運=20

スキル=貫通、回避、攻撃力UP、高速付き、白魔法、炎魔法、土魔法、水魔法、勇者覇気、アイテムボックス(小)、言語理解

ー ー ー ー ー ー ー

山岳ノボル 男 14才 人族 称号=異世界勇者  状態=正常 職業=盾の勇者 加護=リュウグウ光神

LV=1 HP=700 MP=200 力=250 魔力=35

敏捷=30 知力=30 防御力=100 運=25

スキル=投錨、堅守、身体強化、身体硬化、防御上昇、白魔法、付与魔法、氷魔法、土魔法、勇者使命、アイテムボックス(小)、言語理解

ー ー ー ー ー ー ー

海辺ヒカル 女 13才 人族 称号=異世界勇者

状態=正常 職業=剣の勇者 加護=リュウグウ光神

LV=1 HP=450 MP=420 力=180 魔力=40

敏捷=90 知力=60 防御力=30 運=30

スキル=高速剣、切断、回復、見切り、身体能力UP、白魔法、光魔法、聖魔法、風魔法、勇者威圧、アイテムボックス(小)、言語理解

ー ー ー ー ー ー ー

氷山ミツル 女 13才 人族 称号=異世界勇者

状態=正常 職業=魔法の勇者 加護=リュウグウ光神 LV=1 HP=100 MP=900 力=30 魔力=300 敏捷=20 知力=250 防御力=15 運=40

スキル=賢者、高速詠唱、魔力回復、火魔法、水魔法、土魔法、風魔法、白魔法、光魔法、黒魔法、付与魔法、勇者魔波、アイテムボックス(小)、言語理解

ー ー ー ー ー ー ー

4人のステータスやスキルが読まれる度に大きな歓声と拍手と期待する声が起こる。

4人と自分を比較してどんどん落ち込んでいく。

称号の異世界勇者かも知れない男というのを見ていなかった訳では無いが、チート能力を期待してしまった。

読み上げられた4人は、確かに異世界勇者だし、半端ない正にチート能力を持っていた。

だが、俺には4人には無い精神P、精神波、精神力というのを持っているし、他の4人は固有スキルやエクストラスキル等を持ってないのでそれがチート能力かも知れないと期待するしかなかった。

そして、いよいよ俺の番となった。

ステータスを読み上げて行くと案の定、称号の異世界勇者かも知れない男を言った時に“クスクス気の毒に“、”プッ、異世界勇者かも知れないとさ“、”クックックッ何しに来たんだ”と失笑され、職業アルバイターと言った所“アルバイターとはなんぞや”、“勇者に関係するのか”、“異世界勇者じゃ無いんだ”とかザワツキ始め、HP=50/50 精神P=1300/1300 MP=10/10 力=12 魔力=5 精神波=10000 精神力=950 敏捷=7 知力=9 防御力=6 運=70

迄読み上げると“嘘を付きおって、ステータスに精神P、精神波、精神力だと何だそれは何の役に立つ”、“使えない奴、魔物や魔族と戦えるのか”、“こんな低いステータスは普通の一般人と一緒だぞ”とか批判の言葉が出始め、そこまで聞いて勇者4人も“クスクス”笑い出し、俺はそれ以上言葉が出なくなった。自分の居場所が無い気がした。

そんな時ミーサ神官長が俺に質問する。

「魔法は、スキルはお持ちでないのですか?」

「あのう、アイテムボックスを持ってます。魔法は白魔法と生活魔法というのを持っているようです。」

周囲から大爆笑が起こる。

“あっはははは、白魔法は良いとして、それ以外は生活魔法だと”、“生活魔法は一般の女が使う魔法だぞ魔物や魔族とどうやって戦うんだ”、“やはり、コイツ使えねぇ”

俺は萎縮してしまい、固有スキルやエクストラスキルに付いて喋ることが出来なかった。それも、笑いの対象にされると思ったからだった。

ミーサ神官長が「皆さん静粛に」と言うと“ピタッ“と声が止む。

「異世界勇者かも知れない男との事ですが、リュウグウ光神様からは、何と言われてこちらの世界へやって来たのでしょうか?」

「いや、自分は女神様にも誰とも合ってはいません。何にも言われて無く、テレビの前で行き成り魔法陣というのが出てきて、気が付いたらこちらにいました。」

「そうですか、一応お伺いをリュウグウ光神様に立てたのですが、力を出し切った後だからか、返事が有りません。加護にリュウグウ光神様のお名前がある為、他の勇者達と行動を共にしてみませんか?」

「有難うございます。でもステータスが余りにも違い過ぎますので他の人の足を引っ張る事でしょう。

自分だけ、元の世界に戻す事は出来ますか?」

「出来ますが、リュウグウ光神様の召喚のお力をお借りしないと人の力だけでは無理です。

リュウグウ光神様は力を出し切り、返事が有りません。この異世界を勇者様方が救った後なら、お力をお貸し下さると思いますので、しばらく待って頂くことになります。」

「分かりました。では半年程食べて行けるお金と、身分証を頂けたなら後は自分で何とかします。

勇者達が目的を果たし、帰還出来ることになりましたら自分にも連絡下さい。

その時に残るか、戻るか決めたいと思います。」

ミーサ神官長は、引き留めようとするが、周りのヤジや残りの勇者からの冷たい目線を受けながらお城に留まるのは嫌だったし、せっかく異世界へ来ているんだから、冒険をしてみたいとワクワク感が止まらない。

ミーサ神官長が言う。

「せめて、この世界の常識や生きていく為の、魔法や武術等を習ってからにしませんか、今のままお城の外に出たら、即魔物に襲われ命を落としかねません。」

言っている事は正論なので、頭を下げて

「有難うございます。それでは、3ヶ月程こちらに居させて下さい。特に魔法等も教えて頂ければ助かります。」

「はい、好きなだけこの城に居ても構いません。この城を出る際にお金と身分証を渡しましょう。

勇者様方と同じ騎士の訓練では気まずいと思いますので、兵士の訓練を一緒に受けては如何でしょうか。」

「はい、お任せします。」


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