眠れぬ夜の出来事
夕日ゆうや
眠れぬ夜の出来事
夜中、二時半。
なんとなく眠れない。
そのまま眠るのは難しく、脳が活性化していた。
ふわりと爽やかな香りが漂ってくる。
俺はその匂いにつられてベランダに出る。
そこにはふわふわと宙に浮かぶ少女がいた。
「キミは誰?」
「わたしはサリー。よろしくね!」
少女は金髪碧眼で、端正な顔立ちをしている。ショートヘアがよく似合う、可愛らしい女の子だ。
「くる?」
「え。ああ……」
俺はサリーの手をとってふわりと浮かび上がる。
キラキラ見える町並み。
夜景が綺麗だ。
空を飛び、風を全身で浴びて、気持ちの良い夜だ。
そのまま月まで手が伸びそうな空高くへと行くと、雲の上にふわりと降りる。
「ほら。食べてみて」
サリーが雲を一部ちぎって口に運ぶ。
俺も真似てみる。
甘い。
砂糖菓子。綿飴のような味わいだ。
お土産にもっていこう。
少しだけちぎってポケットにいれる。
「ほら。まだ遠くへ行けるよ」
サリーと一緒に東京観光をして回る。
それはとても気持ちの良い夜だった。
目が覚めた。
俺は夢を見ていたのかもしれない。
朝の六時。
少し早いが、出かける準備をしよう。
ポケットにハンカチを突っ込むと違和感を覚える。
「綿飴……」
あの夢で触れたのと似ている。
じゃあ……もしかして……?
ピンポーンとチャイムの音が鳴る。
玄関に向かい、ドアを開ける。
「隣に引っ越してきた、
俺はその子に恋をした――。
眠れぬ夜の出来事 夕日ゆうや @PT03wing
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