(4)

「ところで、私、いいアイデア思い付いたんですけど〜」

 葬除屋さんの中の魔法使いさんが、どうやら魔法が絡む死体の手順の1つらしい何かの呪文を唱えてる最中、酒のおかげで、ようやく頭がマトモに働くようになったので、いい考えが1つ浮かんだ。

「何だ?」

暗殺者アサシンギルドに依頼しましょう」

「あ……」

「えっと……」

「あのなぁ……」

 幹部の皆さんは一様に困惑顔。

「もう、この期に及んでは、恥も外聞も人道も倫理も無いでしょ。あの『鋼の男』だって、あの厄介な鎧を脱ぐ事ぐらい有るでしょ。例えばサウナ屋に行ってマッサージでも受ける時とか。絶対に、あんな重そうな鎧着てんだから、その内、肩や足腰に来るでしょうから、風呂に入ったり、マッサージ受けたりしますよ。そこを見計らって、背後からグサっとですね……」

 ん?

 何だ?

 幹部のお爺さん達の目が……。

 さっきまで……私を見る目が「阿呆を見る目レベル一〇」ぐらいの感じだったのに……「阿呆を見る目レベル一〇〇〇」ぐらいになって……。

「あ……危な……ッ‼」

 その時、突然、魔法防壁が展開。私と幹部のお爺さん達を包み……。

 葬除屋さん達が爆発。

 魔法防壁で、私達は無事だったけど……。

 魔法防壁の上部に瓦礫が次々と激突……。

 ああああ……あの可愛いウエイトレスさんと……私の大事なお酒は……全部……この……「魔法の人間爆弾」が爆発したせいで……吹き飛んじゃったの?

 そんなッ‼

 そんなッ‼

 そんなッ‼

 そんなッ‼

 そんなッ‼

 返せ、返せ、返せ……私の大事なお酒を返せッ‼

 あと、ナンパしたあとでオ○○コを舐め舐めしてあげるつもりだったウエイトレスさんも返せッ‼

 そして……煙と埃が晴れた時……。

 轟音と共に、私達を護っていた魔法防壁にヒビが入る。

 魔法防壁の上には……いつの間にか何人もの黒装束に黒覆面の人達が居て……拳で魔法防壁を何度も何度も何度も殴り続けていた。

 どうやら……さっきの轟音は……この黒装束の人達が一斉に魔法防壁の上にスーパーヒーロー着地した時の音で……魔法防壁を殴っている拳は「気功拳」か何かの魔力を込めたモノらしく、殴る度に魔法防壁のヒビが大きくなっていく……。

「もう……持たん……逃げろ……」

「えっ? えっ? えっと……? な……なに、これ?」

「知らなかったのか?……この国の暗殺者アサシンギルドは……壊滅した」

 へっ?

「奴らは……多分……その生き残りだ……」

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