死を夢む
右京 凪
Prologue
あのときの僕の選択は間違っていたのだろうか。この夢を見ると思う。彼は僕を赦すだろうか。恨むだろうか。それとも他の感情を抱くのか。もう彼に聞くことは叶わない。僕の罪は浄化されるのだろうか。
自分の不幸は、拒否の能力の無い者の不幸でした。すすめられて拒否すると、相手の心も自分の心にも、永遠に修繕し得ない白々しいひび割れが出来るような恐怖におびやかされているのでした。 太宰治『人間失格』より
彼に教えてもらった本達はまだ読み切れていない。僕はこの主人公のように人との関係を守ることに囚われすぎていたのかもしれない。今もこれからも変わることのない、生来からの性というか、本能というか。これに打ち勝てていれば今のこの気持ちや恐怖、そして君を喪うという最悪の事態は回避できていたかもしれない。
今日も僕は夢を見る。そして彼を思い出す。繰り返される夢の中で、僕は死に、彼を想う。
死を夢む 右京 凪 @U_kyounagi
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