冒険あやめっち

ヤッキムン

ロンドンからパリへ

ボクはロンドンで生まれた。

テムズ川のほとり。

ベビーカーに乗ってママといっしょにお散歩に。

「あやめっち、散歩に行くでー」

ってママは言う。

大阪の人やから。

正確に言うと、ニースの人。

フランス人。

でも、ちっちゃい頃から、日本のアニメとかを好きで、高校を卒業して、大阪に住んでいた。

それで、ママはフランス人なのに、大阪弁。


ロンドンにいても、ボクも大阪弁になってまう。


文女と書いて、あやめ。


家の近くに、さよりちゃんっていう日本人の可愛い女の子、住んでいる。

ボクよりも2つ年上の女の子。

さよりちゃんは、よくボクの家に遊びに来てくれている。

「あやめっちー!好きやーっ!」

って言って、ボクをいつも抱きしめる。

さよりちゃんのママもパパも、もともと関西人。そやから、さよりちゃんも関西弁で話す。


さよりちゃんといっしょに歩いて散歩するようになった。

ボクの手をにぎって、ひっぱっていってくれる。


さよりちゃんは、ちょっと歩くと、すぐボクのことをギュッと優しく抱きしめる。

「あやめっち、めっちゃ好きやーっ!」

って、いつも言ってくれている。


3歳くらいの時に、ロンドンからパリに引っ越すことになった。

さよりちゃんは、ボクのパリ行きを知ると、毎日ボクの家に来て、ずーっとボクのことを抱きしめている。


「パリに行っても、さよりのこと忘れんといてなっ!」

「うん、さよりんのこと忘れへんよ」


パリで幼稚園に入った。

マーリアちゃんっていう女の子と仲良くなった。

マーリアちゃんはパパはフランス人やけど、ママは日本人。関西人やから、マーリアちゃんも関西弁。

幼稚園でも

「マーリアは、あやめっちのおよめさんになったるわー」

って言ってる。


マーリアちゃんといっしょに小学生になった。

幼稚園の頃からパリに住んでるから、小学生でも普通にフランス人の友達といっしょのクラス。

他のお友達とは、だいたいフランス語でしゃべるけど、マーリアちゃんとは関西弁でしゃべっている。



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