第7話 38層の窮地
低国ヴィネ。
神書ゴエティアに
その
今から
そもそもが広大な低国ヴィネは、1層目から地図もなしに
なにせ、13層に
あのソロモンバイブルズが誇る殲滅力に優れた『
たった一層でそれだけの広さを誇るこのダンジョンは、地質学に
その数字は
だからこそ、冒険者ギルドは13層よりも深くに拠点を構える方向へと
そんなわけで――
「おい! 残るポーションの数はいくつだ!」
「上級三つ、中級一つ。用意してた分はほぼ使い切ってる……」
「あー、くそっ! どうやって切り抜けるこれ!?」
そんなわけで、俺たち二級冒険者パーティー『アダマントグレムリン』のような上の下とも中の上とも言い
「ザクロさん!」
「三時の方向の包囲が
「ならそっちを突破する! モモは大規模魔法の準備をしろ! 俺とビワで正面を切り開くから、アケビは遅れるなよ!」
「りょ、了解しました~!!」
久しく味わうことのなかった
なんでこんなところに居るのか、は聞かないでくれるとありがたい。誰も調子に乗った冒険者たちの、自業自得な末路なんて知りたくないだろうからな。
とにかく、だ――
「全員構えろ! 絶対に生きて帰るぞ!」
俺たちを囲むのは恐ろしき魔物の
「魔法準備オーケー!」
「凍てつかせろモモ!」
「了解したよリーダー!」
俺の号令に合わせて、モモの氷属性の上位魔法が凍てついた道を作り、向こう数匹のケイブパンサーを凍らせる。そして地面に潜り込んだ冷たさが爆裂し、更なるケイブパンサーたちをその氷で貫いていった。
「行くぞビワ!」
「おう!」
もともと薄かった包囲網の一部に氷の道が出来上がる。そこが俺たちの逃避行。細い希望を
「――ああ、くそがっ……!」
俺たちの逃避行は
罠だったのだ。わざと包囲の
「おい、どうするリーダー。囲まれちまったぞ」
「さっきの上位魔法でちょっと魔力枯渇気味ぃ……」
うろたえるザクロと、連戦続きで
「さて、万事休すか」
「お、おお落ち着いて何か対処を……!!」
ビワは天命を悟ったのか妙に落ち着いているし、アケビは正反対に慌てすぎている。
四者四葉の表情を見せるが、俺たちを囲むケイブパンサーの包囲網に隙は無い。ビワの言った通り、万事休すか――
「〈
「細かいのは俺がやる! 群れの方は任せたぞ!」
万策尽きて死ぬのを待つばかり。そんなことを思っていた時、ケイブパンサーの包囲網の一角が燃えた。燃やしたのは炎を纏った――いや、炎でできた蛇。しかし、その後ろに居たのは――
「助けだ!」
まごうこと無き、人間だった。
炎の騎士を従えて蛇を操る女と、短剣をもってケイブパンサーの群れの中に一人切り込む謎の男。俺たち『アダマントグレムリン』の五人が死を覚悟した魔物たちを相手にして、たった二人でひるむことなく群れへ突っ込む彼らは、次々とケイブパンサーを倒していく。
そして、一人何十匹ものケイブパンサーの群れの中を突き進んできた男が、俺たちの前に現れた。
「やばそうだったから助太刀したが、問題なかったか?」
「ああ、問題ねぇぜ。ありがとな。できるなら、リフトまで一緒にいてくれるとありがたい」
「リフト……? まあ、道案内してくれるなら問題ないよ。俺たちも上を目指してるからな」
現れたのは、俺とそう年の変わらない若者だった。
人が
「ああ、自己紹介がまだだったな。二級パーティのアダマントグレムリン。俺はリーダーのライムだ」
「俺はルード。出口までよろしくな」
俺の差し出した手に対して、ルードはしっかりと握手で返してきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます