第15話 新たな同居人と新たな苦労
「通常スキルを手に入れれない、ねー……」
バラムが俺たちの家に来てから一日が経った。変わったことといえば、家に住む住人が一人増えたことぐらいか。
「すごい! すごいよヴィネちん! ゴミが全自動で片付けられてく!!」
「そりゃ俺が片付けてるからだ阿保!」
いや、それだけじゃない。家での俺の仕事が大幅に増えたことも追加だ。
俺たちが使っているこのビルの根本――
そして、どういうわけか新たに増えた人間が一人――いや、悪魔が一匹。それがこの、赤髪の悪魔バラムである。初対面で人の腹に何の
まず、基本的にだらしない。昨日から一日
そしてゴミに
まじで、毎日に掃除をしている俺の身にもなってほしいものだ。
そして極めつけには、俺が掃除用魔具か何かと勘違いしている始末である。
まったく、こいつを生ごみとして外に放り捨てたいところだ。ところだが――
「悪いなルード。手間を掛けさせる」
「いや、いいよ。
こいつはヴィネの友人で、ヴィネが居なければ172層の魔物たちに殺されてたであろう俺は、大人しく
そうだそうだ。寝てるだけなら無害だし、ごみを投げ捨てはするがそれだけだ。ソロモンバイブルズのあのろくでなしに比べれば、まだまだ――
なんて、思っていた時期が俺にもあった。
◆◇
隠密の特訓が終わってから数日。まだまだ準備が必要だと言われた俺は、
ちなみに、持ってきた釣り竿はヴィネの平屋に転がっていたガラクタの一つだ。見たこともない素材でできた長竿に、指のような太さの針と釣り糸が付いた逸品である。いったい、これで何を釣ろうというのか。
それと、エサは道中に生えていたキノコを選択。ここは地底だが、ミミズなんて都合のいいものがすぐに見つかるわけなかったのだ。
そんなわけでさっそく一投目。何か
「お、軽い手ごたえ」
自分の力でもなんとか引き上げれそうな手ごたえに安心を覚えて、魚を釣り上げる俺。
前に潜水訓練中に見た、何十メートルという巨体の魚を思い出しながら、遠くに見える
「いただき!」
「ちょ、はぁ!?」
「ふふふっ、油断したなルードちんよ……この魚は私、怪盗バラムが頂いた!」
「ふっざけんなよおい!」
と、俺の
「ねぇ~え~~~。もっとおいしいもの無いのルードちん?」
「それ魚の
「いや! あれはルードちんが釣り上げる前に私がとったから、私が取った魚だよ! よって、
「へーへー」
俺の用意した魚の
挙句の果てには――
◆◇
「……それ、俺の寝床なんだけど」
「スー……スー……」
寝る前に軽く走り込みをして帰ってきてみれば、猫
「気持ちよく寝てるのが腹立たしい……」
俺よりも高い背丈を存分に発揮し、すらりと伸びた足を寝床からはみ出させながら寝るバラム。そこに、俺が寝ることのできるスペースなんてなかった。
「あー……どうしよ。今から新しいの用意するか? ってか、前の掃除で相当片しちゃったから寝床に使える布残ってたっけ?」
既にバラムをどうこうすることをあきらめた俺は、今更新しい寝床を用意することに
「おい、ルードこっち来い」
「ん?」
そんな
軽くホラーだよこれ。
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