ツギハギコロモ
make狗ふぃるむ
第0話 白髪の悩み
※※※こちらの作品は現在世界観設定等の設計変更を行っているのでアイデア版として保存致します※※※
日が降りて上がる月を見る、今日は満月
私の白髪はその月明りで怪しく目立つだろう
「今出歩けば驚いてくれるかも」
そんな近隣の住人が驚き逃げ惑う様を妄想して少し口元がにやつく
しかし結果は明白で、住人が私を更に気味悪がるだけなのだ
なんといってもこの付近で白髪を持つのは私か、近隣の村長位
かつての戦乱期では付近に妖怪の類が出ていたという話を和尚様から聞くが
今は北に集まって怪異諸法度という語呂の悪い法書をもって政を行う国になっていると言っていた
きっと幼い私に優しさで聞かせてくれた和尚様なりの御伽噺なのだと思う
出歩けば気味悪がられ、立ち去れば仏に祈られる
私の状況は最悪だった
いや、和尚様が保護してくれている事を考えれば他にもっとひどい環境の人はいて、その点において神仏への感謝は忘れていない
しかし未来の事を考えると正直道が無い
私の他にも私生児や捨て子といった親の無い子はいた
本来そういう子はある程度成長すると仏門の修行に入るか、農村の労働力として養子に取られる
しかし私は女、しかも白髪
村には気味悪がられ労働力として取られる事も無い
そうなると道は一つ……
数年前、私は以前剃髪をして法衣をまとっている女性数人が村に向かっている所を見たことがある、将来的には私もあれになるのだろうと思って隠れて様子を見に行った
人間こういう年の時に見た衝撃は忘れないもので、瞬間的な光を伴って時たま視界に浮かび上がる、仏様もこういうのに悩まされた事はあるのだろうか、あるだろう
今は分かる、そりゃそうだ 人間生きるには食べ物が必要で旅はそれなりにお金が掛かる、故にそういう事になる、もし私が農村の子なら慣れっこだったろうに、寺生まれには耐性が無かった
寺に住む僧は村の墓や住民の管理等を任されている側面もあり、日々慎ましく生きていける位の食べ物が贈られる、私が日々食べているものも、近隣の村の善意である
今の私はそういう仕組みを知っている、だからアレは仕方ない
それが故に悔しい、私の未来はアレしかないのか
思考が巡る、人間暇な時間と夜を掛け合わせるとダメだ これは経験則の話だけど
夜に考え事をすると眠れなくなってだんだんまいってくる、寝よう
ダメだ寝れない、なら考え事をして疲れよう
こうなるともうダメだ、寝ずの朝が来る
そうならないようにゆっくり考え事を放棄して月をただじっと見る事にする
「綺麗だなあ、月に悩み事もないのだろう」
ぼやいて、柱に寄り掛かる
ぼーっとしてゆっくりと眠気が到来し、気持ちよさにおぼれようとした
その時
一閃、とても細い線、月から伸びるそれが北の方角に向かって伸びた
二閃、三閃と合計七閃の光が北に延びて消えた
稀に見る流れ星とは明らかに違う、明らかに違うそれは私の微睡みを吹き飛ばした
しかし、数刻経っても何も異変は起こらず、寝ずの朝が来た
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