K4
まめいえ
第1話
「キャアァァァ!
「はぁ、尊い! 見ているだけで幸せ!」
「黒崎カイ様、今日もかっこいいわぁ!」
「ま、眩しすぎて近寄れない!」
廊下の向こうから、圧倒的な存在感を放つ四人が横並びになって歩いてくる。
K4っていうのは、「
確かに、クールでかっこいい炎使いの「
K4の中で唯一の女性、とっても美人で仕草もお嬢様な「
ちょっと垂れ目で優しそうな雰囲気の「
そして、褐色の肌が印象的な、体の大きな「
確かに、全員イニシャルが「K.K」なんだよね。だからK4と呼ばれているっていうのも納得できる。だけど、名前がみんな「K.K」だなんて、出来過ぎな気もするんだけど……。
でもさ「
そんなことを思っていると、私の目の前をK4の先輩方が通り過ぎて行く。あれ、一瞬、黒崎カイ先輩が私を見た気がしたけど……気のせいだよね。私、というか私の方、といったほうが正しいかもしれないけど。
「きゃあああっ! カイ様が、カイ様が私のことを見たわぁ!」
私の後ろにいた他の女の子が顔を真っ赤にして、両手で頬を押さえている。その隣の子は嬉しすぎて気絶しそうになっていた。
だよね、何の接点もない私を見るなんてありえないし。おおかた、後ろの女の子が何かしらのアピールをしていたのかも。
はあ、私もK4の先輩方のように……とまではいかないけど、立派な治癒師になれるように勉強をがんばらなくっちゃ!
私の名前は
この学園では剣や魔法の勉強をして、冒険者になるためにみんながんばっているんだ。私は冒険者の中でも、治癒師になりたくてこの学園に入学したの。パパもママも治癒師をしていて、小さな村で冒険者のみんなの手助けをしているんだ。以前パパは「僕たちは戦うことは得意じゃないけれど、こうしてみんなの役に立てていることが嬉しいんだよ」って話してくれた。ママもそれを聞いてうんうんとうなづいていたのを覚えている。結構前の話だけど、いまだに心の中に残っているんだ。そんな二人の姿を見て、わたしも父や母のようになりたいなと思ったの。
だけど、いざ入学してみるとみんなレベルの高さにびっくり。入学前から剣の基礎が出来上がっている子がいたり、すでに初級魔法を習得し終えている子も……。そういう子が大勢だったんだ。それに比べて私が使えるのは初級の治癒魔法だけ。何度も心が挫けそうになったけど、その度に私はカバンにぶら下げてある「サーシャちゃん」のぬいぐるみを握りしめては心を奮い立たせているの。
ああ、「サーシャちゃん」というのは私が好きなアニメ「最弱勇者」の中に出てくる、魔王なのに可愛い女の子という設定のキャラクター。好きが高じて自分でイラストを描いたり、ぬいぐるみなどのグッズまで自作するようになっちゃったんだ。実は昔から絵を描いたり、何かを作ったりするのが好きで、今でも大切な趣味として続けているの。
「おーい、くるみちゃん! 次の授業、地下のダンジョンで実地演習だよ! 早く早く!」
K4の先輩方が通り過ぎた廊下の方で、同じクラスの進藤もみじちゃんが私に手を振っている。そうだった、今日はクラスのメンバーでチームを組んで地下のダンジョンに潜るんだった! 私は急いで準備を済ませて、地下のダンジョンの入り口へと急いだ。
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