歴代最強の術師が当主になる条件が嫁を探す事だった、それを聞いた好感度高めなヒロインたちは様々なアプローチをしてくる。和風バトル、ヤンデレ、ハーレム、現代、和風、学校、現代ファンタジー
三流木青二斎無一門
第1話
刃紋の様な色合いをした灰色の髪。背丈は高く、肉体は衣服の上からでも分かる余分な脂肪など一切無い筋肉質。
部屋に入ると共に、両角切は頭を下げて自らの父の前に座る。
両角慚愧の両隣には女を侍らせている、その女性は愛人であり、年老いた両角慚愧よりも、若い女性だった。
「此処に呼んだ理由は分かっているか?
名前を呼ばれて、両角切は胡坐を掻いた。
「いい加減、家督を寄越してくれる様になりましたか?」
冗談交じりにそう言うと、部屋の中に入って来る女中に目を移す。
粗茶を持ってきた為に、彼は頭を下げて女中から湯飲みを手にすると、熱々のお茶を喉奥に流し込む。
「応、正解だ、理解出来てるじゃねぇか」
からからとした笑い声を出しながら、両角慚愧は自らの当主としての座を両角切に渡す事に決めた。
その言葉を聞いた事で、両角切は思わず、喉奥に流し込んだお茶を噴き出してしまう。
「きゃあ、倅さまの口吹きぃ」
「お口が大変緩いようなのねぇ」
両角慚愧の両隣に座る女性二人がくすくすと笑いながら、着物の袖で自らの口元を覆い隠していた。
「ばッ…はッ…げほッ…今、なんと、本当に?」
再度確認する様に、両角切は両角慚愧に伺う。
すると、両角慚愧は皿の様な器を愛人の前に出す。
愛人の指先からは、まるで手品の様に透き通った水が出てくる。
それは酒であり、同時に、彼女が使用するのは術理と呼ばれる能力である。
彼ら
祓々師は生命の源である流力を操る、その力単体で祅を祓う事も出来るが、祓々師は流力を自らに刻まれた設計図に力を通す事で様々な術を使役出来る。
それが術理と呼ばれるものであり、この愛人は流力を酒に変換していた。
「嘘は吐かねぇよ、
十邪祅。
術師協会が定める今世紀最大悪の祅の事であり、両角切はその内六体の殿祅を討伐して見せた。
その実力は当主が認めなくとも、世間が彼の存在を容認する。
幸いにも両角慚愧は頭が硬い方ではない、両角切が当主に相応しい実力を持つのならば、彼に家督を継がせても良いと考えていた。
「ようやく、ですか…」
「何がようやくだ、これでもまだ若い方だ、まだ十八、九の癖によ」
当主にしては若い年齢である。
だが、両角切にとっては待ち望んだ称号である。
「俺にとって、当主とは憧れで…それを継ぐ為に生きて来たと言っても過言じゃない」
血の滲む努力、泥を啜り、恥辱に耐え、戦い、争い、ただ我武者羅に進んできた。
その道が、決して間違えではないと、過去の自分に教えてあげたい程だった。
「それで、何時、継承の儀を行ってくれるんですか?」
そう言うと、両角慚愧は酒を飲んで酒精の含んだゲップをする。
「げぇーッ…ふぅッ、あのな、当主にはしてやるとは言ったが、条件がある」
「な…この期に及んで、まだ俺に何かをしろと?」
折角の夢が目前に迫っているのに、此処でお預けとは最悪だ。
両角切は不平不満を口にしようとしたが、それにとって両角慚愧の起源を損ねて今回の話が全て無になってしまう様な事だけは避けたかった。
だから、両角切は仕方が無く、拳を強く握り締めて、両角慚愧の言葉を聞く事にする。
「それで…条件とは、なんですか?」
他の家の敵対術師を滅ぼせとでもいうのか、それとも、十邪祅の残り四体を討伐しろとでもいうのだろうか。
なんであろうと、両角切はその条件を達成する気だった、両角慚愧はすっかりと出来上がり、赤くなった顔で、人差し指を両角切の方に向けて告げる。
「女を作れ、それが条件だ」
思わぬ言葉に、両角切は真剣な表情から打って変わり。
「…はあ?」
思わず、そんな言葉と共に眉を顰めて言い放つのだった。
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