役目と魔動型草刈り機

 泪は美咲が持つ籠の中から脳裏に映し出されるものをみていた……――



 ――……ここは、セフィルディの屋敷だ。その客間では、セフィルディとラギルノがソファに座り話をしている。


「セフィルディ様、ただガルディスに会わせるためだけに……俺をこの帝都に連れて来た訳じゃないよな」


「勿論です。ですが……さて、ラギルノには何をしてもらいましょうか」


「もしかして、考えてなかったのか?」


 そうラギルノが言うとセフィルディは、クスッと笑った。


「いえ、そうではないのですが……まず何をして頂こうかと思っただけ」


「そういう事か。それで、どうする?」


「そうですね。それでは、城に向かいましょうか」


 それを聞きラギルノは、不思議に思い小首を傾げる。


「俺は、護衛ってことか?」


「いえ、正式に騎士として登録して頂きます」


「どういう事だ? 意味が分からない」


 そうラギルノが言うとセフィルディは、ニヤリと笑みを浮かべた。


「ラギルノには、内部を探って頂きたいのですよ。それと、これは……ガルディスにも指示を出しています」


「アイツもか……顔を合わせたくないが、仕事だ……仕方ない」


「そうして頂けると助かります。では、城に向かう準備をしませんと」


 そう言われラギルノは、コクッと頷く。


 その後セフィルディとラギルノは、各自部屋に向かい正装に着替える。


 因みにラギルノは、用意された服を身に付けた。


 それからセフィルディとラギルノは、仕度が終わると屋敷をでる。そして、城へ向かった……――



 ▼△★△▼☆▼△



 ――……泪はその映像をみている。勿論、目の前で起きていることもだ。


(向こうも大変そうだなぁ。コッチもだけど……)


 そう思いながら泪は、ジト目で美咲と司をみている。


 そう司は、この世界にないだろう大きな機械的な物を創造していた。


 それを興味深くハバスと、数名のお供の者がみている。


「これは……なんの装置でしょうか? かなり大きな物のようですが、それも……刃が無数に付いています。武器でしょうか……」


「いえ、これは……ただの草刈り機です。ただ、この世界仕様に魔力で動くようにしましたけど」


「そうですか……どうやって使うのでしょうか?」


 そうハバスに言われ司は、魔動型草刈り機を持った。その後、魔力を注ぎ動かしてみる。


 すると……――ウイィィーン……――という音が、周囲に響いた。


 その音を聞きハバスとお供の者たちは、驚き司との距離をとる。


「司、音大きくない?」


「そうだな。今度創る時は、音が余り出ないようにするか」


「うん、その方がいいと思うよ。それで、草刈り機は一つなの?」


 そう言い美咲は、ジトッと司をみた。


「あーそうだった。あと何個創ればいい?」


「ハバスさん達も、草刈するのかな」


「あーいえ、私どもは……他のやれることをしますので」


 それを聞き司と美咲は、コクリと頷く。


「じゃあ、司。私のは、もう少し小さくて軽くて持ち易いのね。それと音も、なるべく出ないヤツ」


「注文が多いな。まあ……いっか。じゃあ、創るぞ」


 そう言い司は、眼前に手を翳すと美咲に言われた通りの物を想像する。


 すると魔法陣が展開されて、そこから玩具のような魔動型草刈り機が現れた。


 それをみた美咲は、その玩具のような魔動型草刈り機を覗きみる。


「えっとー……これって、使えるの?」


「さあな……でも、美咲の注文通りに創ったんだからな」


「そうだね……ありがとう、司」


 そう言い美咲は、玩具のような魔動型草刈り機を持った。


 その後、二人は門を見据える。そして、中に入っていったのだった。

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