帝都に向かう朝と留守番
ここはログロスの村の入口付近。ここには美咲と頭の上に泪を乗せている司が居て、ドルムスとセフィルディとラギルノのくるのを待っていた。
あれから三日が過ぎ、今日は帝都に向かう日である。その間、村長の手続きや引継ぎなどなどを済ませた。
そして現在、美咲と司は村をみながら話をしている。
「ねぇ、この村に来て良かったね」
「あ、ああ……色々あったけどな」
「うん、それに……まさか司が村長って……クスクス……」
そう言いかけ美咲は、司らしくないと思い笑ってしまった。
「あのなぁ、笑うことないだろう。んー……だけど、確かにそうだな。自分でも信じられない」
「そっかぁ……って、来たみたいだよ」
美咲はそう言い向かってくるドルムスとセフィルディとラギルノをみる。
それを聞き司も三人の方を向いた。
「遅くなってすまない、待ったか?」
ドルムスがそう言うと美咲と司は首を横に振る。
「いいえ、そんなに待ってません」
「それならば良かったです。では、転移の魔法で急ぎましょう」
そうセフィルディが言うと美咲と司とドルムスとラギルノは頷いた。
そして五人は、ひとまず村の外へと向かう。
▼△★△▼☆▼△
その頃、村長の屋敷の一室ではサフィアが居て明らかに不貞腐れている。
「あーあ、なんでアタシだけ留守番なのよ。つまんな~い……」
そう言いながら机上に片方の頬を付け半目で無作為に周囲をみていた。
(アタシも行きたかったなぁ……。でも、誰かが留守番しないと駄目だろうし。それに報酬もよかったから……まぁツカサ達が戻ってくるまでの間だしね。……我慢するか)
そう思い上体を起こし正面を向いた。
「さてと、ツカサが戻ってくるまで頼まれた仕事しとくか」
サフィアは机上の書類をみながら印を押していく。
▼△★△▼☆▼△
ここはログロスの村の外。
美咲と司とラギルノとドルムスは、セフィルディの周囲にいる。
「では、行きますよ」
そうセフィルディが言うと四人は頷いた。
それを確認するとセフィルディは、眼前に両手を翳す。
《大地の精 現の地と別の地 異空の狭間 その扉を開き 我と彼の者 我、思う場所へ転移されたし!!》
そう詠唱しながら、帝都があるアドバルド城下町付近のナルベムゼ草原を思い浮かべる。
すると美咲たちの周囲に魔法陣が現れた。それと同時に、スウ―っと残像と共に消える。
▼△★△▼☆▼△
ここはナルベムゼ草原。辺りには、草が生い茂っていた。まるで草のじゅうたんのようだ。
その草のじゅうたんの上に魔法陣が浮かび上がる。スウ―っと残像と共に現れた。
「んー、ここに出ましたか。そうなると、少し歩きますね」
「セフィルディさん、そうなるとどのくらいで着く?」
「ツカサ様、一時間ほど歩きます」
そう言われ司は、疲れた表情をする。
「まさか、歩くのが嫌だって訳じゃないよな?」
「ラギルノ、そういう訳じゃ……」
「司は、最近運動不足だから丁度いいんじゃないかな」
意地悪気味にそう言い美咲は司をみた。
そう言われ司は不貞腐れる。
「あーそうだな……そうするよ」
「うむ、ミサキ様とツカサ様は本当に仲が良いな」
ドルムスはそう言い、笑いながら美咲と司をみた。
「日が暮れてしまいますので、急ぎましょう」
そうセフィルディが言うと頷き四人は、帝都のある方角をみる。
そして五人は、アドバルドの城下町へ向かい歩き出したのだった。……勿論、司の頭の上には泪がいる。
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