対話と思考
ここはログロスの村。そして美咲と司の家だ。あれから二人は話をしたあと家に戻ってくる。
因みにラギルノとサフィアは、ドルムスの屋敷に護衛として居られることになった。
現在、美咲と司は共同の部屋で話をしている。
司の頭には、泪が乗っていた。
「ねぇ、司。ルイが帰って来て良かったね」
「ああ、そうだな。だが、なんで俺の頭に乗ってるんだ?」
「クスクス……多分、司の頭が巣みたいで落ち着くんじゃないのかな」
そう言いながら美咲は、司から目を逸らし笑っている。
「笑うなっ! 頭が重くて、嫌なんだからな」
「そっかぁ……でも、いいなぁ。私だったら嬉しいんだけどね」
美咲は羨ましそうに司の頭に乗っている泪をみつめていた。
「それなら、ルイをどうにかしてくれ」
「んーさっきも、おいでって言ったけど無理だったからなぁ」
「そうだったな」
司はそう言い不貞腐れている。
「そうだ! これから、色々と大変になるね」
「ああ、そうだな。だけど、村長になるのはいいが。しばらく城の方に行かなきゃならない」
「そうだね。それだと、村長が居なくなっちゃう」
そう美咲が言うと司は考えた。
「そうなると誰かに頼むしかないな」
「うん、誰がいいのかな?」
「この村に居るヤツだと、そうだな……………………サフィアしかいないか」
それを聞き美咲は頷く。
「そうなると、あとで頼みにいかないとな」
「そうだね……あっ、そうだった。そろそろご飯の用意しないと」
「じゃあ少しの間、俺は自分の部屋にいる」
そう言い司は、この部屋から出ていった。
勿論、司の頭には泪が乗っている。
それをみて美咲は、笑っていた。
▼△★△▼☆▼△
ここは司の部屋。
司は自分の部屋にくるなり、椅子に座り机に寄りかかる。
(なんか司さん、この部屋にくると雰囲気が変わる……なんでだろう?)
そう思いながら泪は、司の頭の上で思考を巡らせていた。
「村長か……予定外だけど、身を隠すのにはいい。だが、城か……余り気が進まないな」
そう言い机上の一点をみつめる。
(んー、今の所は余り変わってないね)
そう思いながら泪は部屋を見回した。
「……!?」
泪は厄災の箱がないことに気づき驚く。
(……あの厄災が入った箱がない。じゃあ、全部……)
そう思い泪は、このあとのことを考えてしまい涙が出てくる。
「ん? そういえば、厄災の箱……まあいいか。どうせ、今すぐどうこうなる訳じゃないしな」
それを聞き泪は、司の頭をくちばしで突っついた。
「イテエェェエエエー……」
そう叫び司は、頭の上に乗っている泪を捕まえようとする。
だが泪は、素早く飛び上がり避けた。そして、また司の頭の上にのる。
そしてその後も司と泪は、美咲が呼びにくるまで同じことを繰り返していたのだった。
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