第40話 久しぶりに悪役を演じなくてはならないのだが 2

※ほんの少しだけ投稿間隔が空いているので、過去の話を見て思い出してもらえるとありがたいです。



〜〜〜〜〜〜〜〜




「あのーヒョーゴさん?いったいどういう状況なんですか?」


すると近くからまた声が聞こえた。

……もう誰だかわかりますよ。

声の主はもちろんサリーさんだった。

剣の練習中に騒がしかったら見に来たのだろう。


…というか、サリーさんからの圧を感じるます。

にっこり笑っているけど、目は笑っていない。

え?俺を運んだ時に、この二人と会わなかったの?


「勇者様はこの綺麗な方と同居されているの?」


「少年よ、両手に花とはこのことなり」


いや、面識ないんか~い!!

ウィリスさん、また無感動の真顔に戻りましたねえ(;´Д`)

ナツミさん、両手に花とは何すか?


やっべ、これは嫌な予感しかしない。


~~~~~~~~~~~~


俺は玄関でボーっと一人で突っ立ている。

相当、困惑していた。どうしよう?


結局あの後、家に入れてしまった……。

いや、ほらさ、さすがにあの数集合されると玄関で話なんてできないじゃん?

てか、ウィリスは元々言いたいことがあるらしく、家の中に入れるつもりだったし。

まあ、終わったらすぐに帰らせるけどなあ!!

俺も忙しいんよ……。


聖書を燃やされたせいで未来分んなくなったし、女神様にいつ会えるかわからんし。

じゃあ、魔法を極めることによって敵の襲来に対策しよう!!

ってなったけど、ゴーレムのあの精巧な魔法の技術を見て、

レベルが高すぎると思った。…正直、俺自身は諦めかけている。

じゃ、じゃあ剣で対抗するかあ?!

う~ん、サリーさんに勝てないんだよ?

というか、魔王幹部を相手にして手も足も出なかったんだよ?


もしかして俺は剣の才能も無いんか?!

まあ、つまり言いたいことは『俺自身に極められるものが一つも無いから、戦闘・援護、などの簡単なものはすべて習得するのはどうか?!』ということ。

何が来たとしても対応できるように。

ちなみにあと一年で、勇者パーティー加入ね。


時間が無い!!圧倒的に時間が無いのだ!!


と、いうことで、まずは集まるか。

確か、あの三人はダイニングにいるはず。

玄関から直行だな。



俺が向かうとすぐに、誰かの悲痛な声が聞こえた。

多分声のトーンからしてウィリムかな?

俺が居ない間に一体どんな話が進んでいるんだよ……。


「え…?それはどういうことなの?!!」


「全くだ、拙者も理解できぬ……」


「一旦落ち着きましょうか、一旦……ヒョーゴさんも戻ってきたらしいので……」


俺がダイニングに姿を表してすぐに、サリーさんは俺の気配を感じ取ってなのか、

静かにすることを二人に促した。


いや……別に仲良くはなしてもらっていても構わないんだけどさ、なんか邪魔してゴメンな。

かといって自室に戻ろうかと思い至って背を向けたが―――

なんか嫌な予感がした。これは俺も聞くべき内容なのか?

椅子座るぞ、よっこらしょ。


向かい側はウィリスねー把握。

……なんか分厚い本持ってるな?既視感があるような……



「自己紹介、遅れたな。拙者は帝国騎士のナツミと申す。サリー殿よろしく」


「ウィリアムです」


自己紹介もあまりせずに、サリーさんと話していたと、仲良しかな。

それぞれ個性的な自己紹介ありがとう。

さて、サリーさんの反応はいかに?


「ヒョーゴさんはブラマの夜で大変だったのですね。彼女たちの話を聞いて、魔王幹部との戦闘の過酷さを知らされました」


サリーさんは俺に対して微笑みながらそう話した。

さては、ナツミさんとウィリアム神だな。

俺がいない間に説明してもらえたんだが。ラッキー


「あぁそうだな」


俺はいつもの気だるそうなキャラを演じ、曖昧な返事をする。

そして、さっきまでの会話を少し問い詰めてみた。


「気になっていたのだが、さっきまで何を話していたんだ?」


「「「……」」」


少しの沈黙の時間が訪れる。

そして本能的に感じた『なんか、気まずい雰囲気になってしまったな…』

家と言ってここで止まってしまったら、さらに状況は悪化しそうだ。

一応、初対面のサリーさん相手に話していた内容だし、俺と少しも関係がないとは断定できない。

とりあえず、空気を読んでいないふりをして、更に会話を進めた。


「ウィリスは先程まで何かを叫んでいただろ?何を話していたんだ?」


質問されたウィリスは、はっと目を開くと、すぐに俺から目をそらして、

口をパクパクさせていた。

……うん、質問した相手が間違えてた。


「質問した相手を間違えたか……」


やっべ、言葉に出ちゃった。


すると、ウィリスが少し怒ったような表情をして、


「べ、別に何も言えないわけじゃないし!ただ、」


ウィリスがまくし立てるように言葉を口に出した。


「ただ、なんだ?」


「……あのクズ勇者に、ヒョーゴ様の功績を取られたのが、本当に悔しいの!!!!!」


……??

功績?クズ勇者?

クズかどうかはわからないけど、勇者ってことはレオンのことか?

ちょっと言っている意味が分からねーー。


困った様子を感じ取ったのか、ナツミが助け舟を出した。


「拙者が詳しく説明する。―――実は、昨日のブラマで『魔王幹部のイビル』を倒したことになっているのはあの、レオンということになってしまっている」


……あれだけ逃げていた勇者さんが…イビルを討伐したと噂に?


「レオン勇者が逃亡していたことはごくわずかの人間しか知り得ない。大半の人間は、『レオン』がイビルを倒したと信じてやまないんだ!!」


ナツミは悔しそうに頭を抱えた。


……いや、別に俺は必要ないぜ。

俺としても、悪として目立たなくていいから、

とにかく『正義』として目立たれる方が困るんだよ。

ヒョーゴの功績って―――魔王幹部を討伐したなんて、俺にはもったいなすぎる名誉だろ。

というか結局、幹部を討伐したのはナツミさんだし。


俺としてはナツミさんさえ納得してくれれば良いんよ……


「納得できるわけ無い!」


ですよね〜。

帝国騎士からしても魔王幹部討伐なんて、高い名誉だし。

欲しがるのも当然……


「ヒョーゴ少年が倒しているはずなのに……。拙者は全く納得がいかない!」


うーん?違うよ?

君たちこそ、俺がイビルを倒していると錯覚してない?

まあ、いいや。特に俺には関係ない話しでした。


さて、そろそろナツミさんが来た、本当の目的をはなしてもらおうか!

時間押してるし、騎士も忙しそうだし、

本題に行こーぜー!!


俺は、本題をはなしてほしいと、三人に向けていった。


「ヒョーゴ少年よ、拙者は少し心を落ち着かせる時間が欲しい……」


「私も聞いているだけで気が悪くなってきました。少し外に出てきますね」


「わ、私はヒョーゴ様の近くにいる。それだけでクズ勇者の障気を浄化できる……」


しかし、帰ってきた言葉は意外とシンプルだった。

話し合い中断。

いや待ってくれ、早く終わらせて帰ってくれないか?!










~~~~~~~作者より~~

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