第36話 後片付けしよう

~~~~~~~~~~二時間後~~~~~~~~~~~


とんでも脱力感。

なにせ、魔王幹部を倒せたのだから。

まあ、俺(ヒョーゴ)がとどめを刺したわけではないけどね。

でも、死に物狂いで戦ってたものだから終わった後は、精神と身体への反動が凄かった。

そんなこんなでも魔王幹部討伐できたし、良かったわあ。

ちなみに、ソイシー街の住宅が立ち並ぶ場所では、

帝国騎士が駆けつけてうまくやってるらしい。

しかも、オーガ族の女性ともうまくタッグを組んで魔物討伐できてるとかなんとか、

そんな情報も入ってきた。

つまりサリーさんのことだよね。

元気で良かったし、人間族とタッグ組むなんてやるじゃん!!


ちなみに俺は、あの戦闘後に洗脳されていた女の子に会いに行った。

名前は、ウィリアム・ウィリスだってさ。

幹部バトルに持ち込まれて、放置しちゃってたから、マジで死んでないか不安だった。

まあ、結局は助かった!!

でも、精神的な面の擦り切れ具合がやばい。

安全な状態まで誘うのは大変だった。


なにせ、ウィリスさんは意識を取り戻した瞬間に、

彼女の喉に自らガラスの破片を突き立ててたからね。

わあ、急な自傷行為?!

なにやら「アタシが死ねば、誰も傷つかずに済むの!!」

とか叫んでた。

……う~ん、錯乱状態。

その後、しっかり自傷行為を止めてあげて、状況説明したよ。

(ちなみに、ウィリスさんの物理的な傷はゴーレムに治させた)


でも、逆に状況説明したら俺にめっちゃ謝ってきて、さらに錯乱してきたんだが。

まあ、確かに剣を突き立てられた覚えはあるけどなあ。

洗脳されている状態が続いているっていう勘違いね。

でも、マジでウィリスさんは悪くないし。

魔王幹部が全部悪~い!!

ということで、この件はスパッとお互いに割り切って忘れよ。


―――んーあれ?

そんな話途中に、ネズミの形をした魔物が、ウィリスさんに襲ってきた。

もちろん瞬時で気付いた俺が、剣を一振り。スパッとね。

あっぶね、まだブラマの残党が残ってたんか……気を付けなくては。


あ、っと思い出した。

俺の剣、柄から先無くなってるんだよなあ。

ごめんごめん、ちょっといいかな?ウィリスさん?

この剣を『称号』で治せる?

そんなお願いしたら勢いよく首を縦に振っていた。

だから俺は剣を差し出したのだが……。


どうやら、魔力切れでできないらしい。

あ、無敵戦術にはそーゆー欠点あったのか。

まあ、気長に待つ。つまり、預かってもらおう。

ということで、ウィリスさんに剣を預かってもらいました。

その後、ウィリスに対して励ましの言葉をいくつか述べて、俺は去った。


次に、仕事を終えた女騎士さんと顔合わせてきた、

名前をナツミというらしい。

日本人っぽい名前!!

しかも、戦闘中だったから、あんまり、体型とか顔とかよく見なかったけど、

今見てみると、高身長だなあ。

めちゃ顔も美形ですわ。

ちなみに、赤髪の大部分を纏めてポニーテールにしていた。

ちょっと乱雑だけど、逆に似合う。

これもまた絵になってるな。


そんなナツミさんからは、

めっちゃ称賛された。「幹部の渾身の攻撃に耐える奴はそうそういない。誇るべきことなり」

とか、       「その年でその実力とは、とても期待できる」

とか……いやいや、耐えるもクソもねえ。

期待しないでくれ(切実)。

とにかく曖昧に返事して心を無にしていたぜ。

まあ、そんな俺を前にめっちゃ興奮した様子で、俺に話し込んでいた。

そんな俺強いのか?

うーん、勇者だから特別扱い説?

もしかしたら特別扱い説かも。

そう思うと納得した、やはり帝国最強な騎士が、俺みたいな一般人をほめる言葉なんて無いもんな。


まあ、言葉をノラリクラリかわし、

少し落ち着いた後、俺はイビルに関して不思議に思ったことを打ち明けた。


「形が無いイビルをどうやって倒したんだ?」


これよこれ。

形無いって言ってたくせに、

ナツミさんは堂々と霧に突っ込んで討伐したからね。

気になってた。

ちなもに返答はこう、


「それは拙者の『称号』が関わっているなり。本当は話したい、だが、仕事上の都合でこれ以上は言えないなり」


来ましたよ『称号』。

いやあ、でも逆に納得。

その『称号』をナツミさんに与えた女神様の選択は最高だね。

ミュリエル様感謝。


「しかし、ここだけの話していいか?」


唐突にナツミさんから別の話題を出される。

どうしたんだい?


「実は、イビルを完全に斬った自信が無いなり」


……?!

なんだって!!

え?でも。完全に悍ましいおぞましい気配消えてたよね?


「もちろん、拙者はアイツを斬った。しかし、憑依が得意な魔物は一筋縄ではいかないことが多いなり。一応拙者はここ辺りを巡回しているが、気になることがあったら言ってほしいなり」


つまり、イビルって面倒臭いタイプなんだ……。

話を聞くに、他の体に憑依して、籠るっていう戦法があるらしいな。

本当に最後まで気が抜けないやつだぜ。


「あぁ、分かった。協力させてもらう」


そう言いながら俺は去ろうとする。

すると、そんな俺の後ろ姿にナツミさんは声を張り上げて喋る。


「少し、言い方が気持ち悪いかもしれんが、いいか?」


気持ち悪いくなる?

つづけてナツミさんは喋った。


「ヒョーゴ殿みたいな人間性を持った者が、勇者で……助かる。すなわち、拙者は心からヒョーゴ殿を一所懸命応援しよう!」


キモさ全くない、ありがと。言葉には出さないけど。

勇者……か……。

でもそんな激励された俺は悪役だ。

今回、この戦いに参加した口実は「サリーさんに無理矢理、連れ出された」ということにするつもりだし。

なんか、救えない、ごめんな。

と思った。


そうして、イビルの生死を確認するためにまた歩き出す。

しかし、ここであることに気付いた。

あれ?足が重い。めっちゃ視界も揺らぐし、なんだこれ?

不意に俺は意識が途絶えた。




〈ヒョーゴ・魔王幹部イビル討伐完了、報酬・イビル能力付与〉








~~~~~~~~作者より~~~~~

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