第37話 死亡フラグが立ちました
しばらく悔しがっていたギャル3人――
――しかし、神崎はすぐに余裕のある笑みを浮かべてシャルに近づく。
「あら、シャルさんって甚太みたいな人が好みなのね。意外だわ――」
そう言いながら、神崎は自分のスマホを持って得意げにシャルの目の前に画面を突き付けた。
「甚太って、
俺の席からは見えないが、恐らく俺が転生する前の伏見甚太が
伏見甚太はこのギャルたちに騙されて山城に酷いメッセージを送り、それがクラス中に晒されてイジメのキッカケとなった。
もちろん、先日こいつらのスマホのデータを自分のデバイスにコピーしているシャルは既に知っている内容のはずだが……。
シャルはわざとらしく大声を上げて食いついた。
「甚太が他の女子に送ったメッセージ!? それは興味あるわ! 見せてくださらない?」
「えぇ! そうでしょう! ほらほら、沢山あるからよく見て!」
神崎は悪い顔をしてスマホをシャルに手渡し、スワイプしながら伏見甚太のメッセージをスライドショーのように公開していく。
そうすると他のギャル2人、見田、芹沢も悪い笑みを浮かべながら神崎のフォローをした。
「うわぁ~、エゲツな~い! こんな文章送られたら、ショックで寝込んじゃうかも~!」
「こんな事やこんな事まで! これはもう犯罪みたいなモンだよね!」
「どんなに好きな相手でも、こんな奴だって知ったら幻滅だよね~」
ギャル3人の次の狙いはシャルと俺を別れさせることらしい。
そしてまた孤立させたところで俺にすり寄ってくるつもりだろう。
嘘を信じ込ませて自分たちに恥をかかせたシャルの男を奪い取る。
実に分かりやすい復讐だ。
「そうだぜ、シャルちゃん!」
「甚太はやめとけってー」
「こいつ、大人しそうな顔して滅茶苦茶やべぇ奴なんだぜー?」
俺と別れさせてシャルと付き合いたい男子生徒たちも加勢する。
神崎のスマホの画面を見ながら、シャルは顔を青ざめさせた。
「本当に酷いわ……。こんな言葉を送れるなんて、人の心が無いみたい……」
わざと呼吸を浅くして酸欠で自分の顔色を悪くしているのが俺には分かる。
シャルは意外と演技派だ、戦場で命がかかっている状況と違って今回はやりやすいだろうが。
「だろだろ!? ひっどいよな~」
「本当に最低よね、どう生きてきたらこんなひどい言葉を思いつけるのかしら」
「山城がこれを神崎たちに相談してよー、そしたら神崎たちがクラスに共有してくれたんだ」
「そうそう、だから伏見は悪い奴なんだって!」
ギャル3人と男子生徒たちの目的が一致して、その場の雰囲気が俺を非難する流れになった。
俺にコテンパンにやられた堂島たちも仕返しの機会を得て、ニヤニヤした表情で近寄って来る。
「可哀そうに。伏見なんてクソ野郎に騙されてたんだな」
「別れる瞬間見れるのか! 俺、ワクワクしてきた!」
「シャルちゃん、思いっきりビンタしてやれ!」
「おいおい、伏見が頭抱えて黙っちまったよw」
確かに俺はつい頭を抱えてしまった。
(神崎、あいつシャルに自分のスマホ手渡してるぞ……終わったな)
ハッカーに自分のスマホを手渡す。
それがどういう意味を持つのか、神崎はこれから思い知ることとなるだろう。
――――――――――――――
【業務連絡】
今日はあと2回投稿する予定です!(多分、お昼と夜)
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