喧嘩の後の心も溶かすハニーマスタードチキン

宇未

第1話

私がイギリスの家庭でオーペアをしていて

初めて子どもたちから「Yummy!」

をもらったのがハニーマスタードチキン。


お仕事で忙しいパパママの代わりに私が夕飯づくり。


兄弟喧嘩を止めたり、宿題やらせたり

作業がなかなか進まなかくて。

でもなんとか食事時間に間に合わせ、子どもたちを喜ばすことができた奇跡みたいな料理。


料理ひとつ作るのにこんなに苦労するのか、、。

パパママって大変だ。


子どもたちの嵐が過ぎ去ったらジャガイモのの下ごしらえ。

イギリスはジャガイモが安く手に入るからたくさん食べる子どもがいる家庭の主食にぴったり。

そして大体みんな大好きよね。


大量のジャガイモの下ごしらえが一番大変。


それが終わったら、鳥もも肉の余分な皮を切る。

イギリスのお肉って大体骨つきで生なましいんだけど生活するうちに慣れてきちゃった。


材料の下ごしらえが済んだら、今度はソースづくり。

蜂蜜と、同量の粒マスタードを混ぜて、そこにレモンを絞っていれる。

たったこれだけ。簡単すぎて、最初は不安になってレシピ読み返したけど、甘み、酸味、塩味、ぜーんぶ入っているからこれだけで結構深みのある味になる。もしニンニクがあれば少し足してみるのもいいみたい。


あとはお肉と絡めて。蜂蜜のトロッとした液と粒マスタードで手はべっちょり。追い討ちかけるようにイギリスの硬水で荒れがちな手にレモンがちょっと滲みる。

こんなに頑張ってるんだから美味しくなってよーー、、って心の中で懇願する。


あとはオーブンパンに皮を上にして均等に並べて、開いた隙間を埋めるようにジャガイモを投下。

上からオリーブオイルをたらーり。お塩をつまんでパラパラ。


あとは180度に熱したオーブンに入れて30分。よっしゃ、時間できたぞ!とすかさず自分の洗濯物を取り込みに。なんだか本当にママになった気分。


セットしたタイマーに呼び戻されてお迎えに行くと、皮がこんがり、ジャガイモもカットした断面が少し焦げた感じでカリカリしてそうな見た目。お肉から出た油でオーブンパンはジュージューいってる。


ここで最後の仕上げに、いろどりを添えるようにほうれん草とグリーンピースを上から散りばめて再びオーブンへ。あと3分。


見た目もおしゃれに、美味しそうな音を立てるハニーマスタードチキンを見て一人でうれしくなってしまった。


テレビに夢中な子どもたちを引き離し、やっとのことで食べさせたら「Yummy!」と一言。


これだけで今日一日最高な気分になってしまう。


味は、あの有名なポテトチップス、幸せバターになんか似てる。

喧嘩の後も、思わず笑みがこぼれるね。

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喧嘩の後の心も溶かすハニーマスタードチキン 宇未 @umichoco239002

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