37話 2033 Summer PvP Battle Tournament Ⅺ - 疑惑
やっ、やべぇ~~~~~~~~~~!!!
トップ生産職ユーザーとその旧友?の2人の圧半端無ェ~~~~~!!!
俺からオファー掛けたから盛り上げて空気良くしなきゃって思ってたんスけどねぇ……思った以上に存在感ありすぎるなぁ~~~~~~~~~~!!!
俺の居城でもあるマイハウスが戦場が如き緊張感に包まれてるんスけど!!!
「テンプレート以外ありえん」
「えぇ? 機械装備の対策は欲しくないっ!?」
「対策と言ってもね~、性能もまだ詳しく知らないのにどう対策するのかしら~」
「ミロルーティの言う通りだ。情報が出回っていない構成に対策を施すくらいならテンプレート構成でコイツの強みを押し付けた方が勝率が高いに決まっている」
「でも折角ボク達が組むんだよ? どうせならネットを沸かせたいでしょっ!」
「沸かせて負けたら話にならんだろうが」
「いっや負けないでしょっ! 『Spring*Bear』に次ぐ実力者だよ~っ!? ねえグラ助クン、負けるワケないよねーっ!?」
チャチャチャっ、チャ~~~ンス!
ここで軽妙なリアクションを取って一気に場の空気を和ませるしかねーっしょ!
「余裕に決まってんじゃないっスか~! ベアー先輩が居ない今、繰り上がって俺が最強っスからね! 相手の攻撃全部避けてこっちの攻撃全部
「は?」
突如凍り付く空気ッ!?
何なに!? 俺なんか失言した!?
「今の言葉は事実なんだな?」
「へぁっ?」
「『Spring*Bear』は引退したのか、と聞いているんだ」
「あっ……ああ~~~~~! え~~~~~っとぉ…………」
えっ、えっ、えっ!?
ベアー先輩の引退ってまだ周知の事実じゃないんスか!?
ベアー先輩ほどの人ならすぐに他のフレンドから「あれ、前回ログインめっちゃ前じゃね? もしかして辞めた?」って気付かれて噂になるモンだと思ってたんだけど!?
────ピキーン!
ここで気付く俺、手遅れ!
そうじゃんベアー先輩ってフレンドめちゃくちゃ少ないんだった!
いつメンのどんぐりパイセンとかヤマ子とかしかフレンド登録まではしてないんだったわ!
たまーにクラメンをパーティーに入れることはあったけど、そういう時って大抵どんぐりパイセンが誘ってたじゃん!
というかムラマっさんとミロロ姐さんは知ってんだから伝わってると思うじゃないっスか~~~!!!
どうしたもんかなぁ…………本人が結構静かに引退した分、それを俺がバラしちゃうってのもなーんかヤな感じっスよねぇ………………。
…………ま、いっか~~~~~!!!
「そうなんスよ! 実はベアー先輩、戦闘職辞めちゃったんスよ!」
「あれっ、知らなかったの? てっきりキミほどの人なら情報を仕入れてるモンかと思ってたよっ!」
「お前は知っていたのか?」
「まあねっ! ちょっと前にグラ助クンと会ってさ、その時にね」
「何故だ」
「い、いやぁ……実はそのぅ、生産職やるっつって…………」
「『Spring*Bear』が生産職だと?」
「その為にセカンドキャラを作るくらいの
「ふむ、あの『Spring*Bear』がセカンドキャラを……ユーザー名は?」
「それが分かんないんスよ! 俺とかヤマ子とかどんぐりパイセンも探してはいるんスけど、やっぱ知り合いが戦闘職専門ばっかなんで情報が入ってこないんスよねぇ。逆にお三方は心当たり無いっスか?」
「少なくとも『Spring*Bear』のセカンドキャラだと公言してる奴は居ない」
「隠してるんだろうねぇ。ミロロは知ってる? 結構知り合い多いよね?」
「そうね~、そもそも『Spring*Bear』が引退してることを知ってる人もほとんど居ないみたいだし~?」
生産職の最前線に居るような人達が知らないんだから、上手いコト隠れてるんスねぇ……。
…………んんっ?
そういえばムラマっさんとこの新人君の名前って確か……。
「あの~、あの新人鍛冶士の名前って『くまさん』っスよね?」
「そうだよ? それが何か────おっと?」
「う~ん、そういえばあの子……『Spring*Bear』の豪邸を買う為に生産職を始めたのよね~」
いやベアー先輩の目標と同じじゃねーっスか!!?
待て待て落ち着けGrandSamurai……これはまだ偶然ってコトも有り得る範疇!
それだけで確信までは持てない!
「俺も聞いたぞ。まさかアイツが『Spring*Bear』のセカンドキャラだとでも?」
「ちなみに何かアヤシイとことか無いっスか?」
「そうだねぇ、みょ~に戦闘職とアプデ情報に詳しかったような……」
「始めたてなのに史跡の出現位置も知ってたものね~」
「マジっスか!? 実はウチのクラン、ベアー先輩が居た頃に史跡攻略の為に調べてたんスよ!」
「ちょっとちょっとーっ! まさかホントに彼が『Spring*Bear』のセカンドキャラだってのっ!?」
「話を聞いてる限り、その可能性は高そうよね~」
「高いどころか決まりだろう」
「ま、まあ! 本人が認めるまでは分からないっスよね?」
「それもそうだねっ! ボク達にとってくまさんクンはくまさんクン、彼の過去が何者であろうとも、可愛いカワイイ後輩さっ! ほらほら、そんなコトよりそろそろグラ助クンの装備について話を詰めていこうじゃないかっ!」
「同感だ」
「うふふっ、じゃあまずはテンプレ構成かビックリドッキリ構成かを決めるところからね~」
結局そこからもムラマっさんとライオ兄貴の意見がぶつかり続け、間でミロロ姐さんが「うふふ~」とほほ笑んでいた。
そんな中で俺はと言うと────めっっっっっっっっちゃくちゃワクワクしていた!
これまでのPvP大会イベントでは使い慣れた攻略用装備をほとんど流用しつつ、モンスター対策の
毎度変わり映えのしない装備でヤマ子やベアー先輩に挑み、プレイヤースキルに任せた戦いをし続け、いつも決勝でベアー先輩に負けてきたんだよな……。
だけど今回は違う!
ベアー先輩に勝ち逃げされたのは悔しいけど、ヤマ子との戦いはこれまでとは違った戦いになる気がしてる。
トップレベルの生産職3人に力を借りて挑むこの大会……きっとベアー先輩のエントリー回避から流石に引退の噂も広まるだろう。
とすればここで優勝した奴が次期最強の座に収まることになる。
絶対に、勝ちたい。
でも俺の頑張り所はまだ、今じゃない。
だから3人の議論の邪魔をせぬよう、俺は静かに席を立ち、キッチンへドリンクを取りに向かった。
…………炭酸ジュースしかねえけど大丈夫かな~~~~~!!?!?
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