80話 お金


 俺は、不満が残りながらも家に帰ることになった。


「犯人どうなった?」


 ミツキが質問してきた。

 だが、俺は『何故か、犯人は分からなかった』と言うと、少し落ち込んでしまった。


「おかしいですね。」

「だろ」


綾音さんが、疑問そうにしている。


「ん〜やっぱり、冒険者ギルドは何かを隠しているかもしれない。もしかすると、犯人は分かったけど、隠さなければならない事があったとかかもしれない。」


佐々木さんは、語った。


「ん〜どうすれば。」


俺は考えていると、俺のスマホに秘書のメッセージが送られてきた。


『佐藤さん。フェニックスギルドの社長がどうやら、冒険者ギルドをどうやら、買収されたようです!!』とメッセージが送られてきた。


「やっぱり」


佐々木さんは、どうやら確信していたらしい。


******


佐藤が冒険者に呼ばれる一週間ぐらい前。


*****


「これ上げるから、タケルがやった事はもみ消しておいて。」

「だけどな...」

「別に、死んだ訳では無いんだろ?」

「ま、まあ」


 冒険者ギルド職員とフェニックスギルドの社長が、一対一で話している。

 机の上には、大量に摘まれた札束がドンっと置かれている。


「これは、ほんのお礼と言ってもの良いものだから」

「う、受け取れませんって」


 冒険者ギルド職員は、拒否しているが受け取りたそうな顔をしている。


「今や、タケルは今やうちの看板を背負って立つ者なんですよ。タケルのスキャンダルとか今起きると厄介な事が起きるんだよな〜もし、この事を揉み消してくれるならば、この更に倍をお札を積んであげるけど?」

「ん...まあ、証拠はないし...」

「そうだよ。証拠は無いんだよ。もし、何かあれば俺のお金でなんとかしてやるから、このお金を受け取って、この事件揉み消してくれるよね。」



 フェニックスギルドの社長は、冒険者ギルド職員の方に手を置き耳元でささやいた。


 買収など、あってはならない事なのだが...冒険者ギルド職員は、お金を受け取った。


「まあ、2回も賄賂受け取っているんだから、もう俺の専属になりなよ。」


この冒険者ギルド職員は、前の事件でもお金を受け取り揉み消していたようだ。


「え?」

「そうしたら、揉み消してくれる代わりにお金をいっぱい上げるから。」

「はい、ありがとうございます。」


 冒険者ギルド職員は吹っ切れた様子で、返事をしてしまった。


 冒険者ギルド職員は、職場に戻ると『タケルには、犯行は無理でした』とだけ、上司に伝え、何事も無かったかのように、残っている仕事を始めた。

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