第3話その頃の勇者パーティー①
「この時がついにきた!」
僕、クロードは最強の聖剣デュランダルの柄を握る。
そしてついにやってきた僕が歴史に刻まれる瞬間に思わず笑みが溢れる。
「でも本当に仕掛けても大丈夫なのか?」
歴史書で後世に語り継がれる自分の姿を思い浮かべて愉悦に浸っていた僕の気分を害してくれるバズ。
大丈夫?何を言っているんだこいつは。
「お前はバカなのか?この僕が大丈夫と言っているんだから大丈夫に決まってるだろうが!」
全くイライラさせてくれる。
クエストを3度失敗しただけでこうも怖気付くとは。
「この前のバジリスク討伐を失敗したのはまだ僕がデュランダルの力を引き出しきれていなかったからだ!しかし、手にしてから2週間、3度もこいつを振るった!4度目の今回なら絶対に使えこなせる!なぜなら僕は勇者で天才剣士だから!」
「それならいい……だが、エンシェントドラゴンに手を出すことは禁止されているんだぞ。それに敵を殺すまでどこまでも追ってくると聞く。もし失敗したら」
「考えすぎよ。支援者どもからふんだくったお金で全装備をミスリル製の物に変えたし、蘇生アイテム、HPポーション、MPポーションだって大量に持ってきたから大丈夫。それよりエンシェントドラゴンを倒したあとのことを考えなさい」
マリアに諭されるバズ。
「……莫大な報奨金!に謝礼金!それに貴族の地位だって夢じゃない!」
「そうよ!今のように危険な仕事で働かなくても楽して生きていけるし今以上の権力が手に入るのよ!ああ、考えただけでも……」
妄想に浸る2人。
くくく!単純なバカどもで助かる。
エンシェントドラゴンは強敵。
それでも剣聖専用スキル「武具覚醒」と「限界突破」による一撃を叩き込めば絶対に勝てる。
僕が必殺の一撃を溜めている間はせいぜい2人に盾になって時間を稼いでもらおう。
最悪の場合は2人を餌にして街まで逃げて騎士団や他の高ランク冒険者と一緒に撃退すればいい。それに罪はこいつら2人になすりつければ良いだけのこと。
「ギャアアア!」
魔の森を進む僕たちの前に先日瞬殺したレッドドラゴンの群れが空から降り立った。
ドラゴンは執念深い。
特に仲間がやられた時はその殺した相手のことをいつまでも忘れることはない為、前回仲間を殺したところを目撃して僕たちの顔を覚えていたのだろう。
「全く、トカゲ風情が」
僕は鞘からデュランダルを抜き放つ。
「いいだろう。デュランダルを手に入れ世界最強となった僕の敵ではないということを思い知らせてやる!いくぞ!マリア!バズ!」
「おう!」
「任せて!」
僕たちはレッドドラゴンの群れに戦いを挑む。
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