打ち付ける音の波
Spicuron
01.塵のなくなる頃に
今日の夜から足音が聞こえなくなって、
気づいたらもう朝だった。
私の選択は間違っていたのかな。
やっぱり無理だ。
いつも疲れてる君を想って
沸かしたお茶も、
お風呂場のパジャマも、
意味はなかったのかな。
私のためにいつも動いてくれる君は、
頼らせてくれたけど、頼ってくれなかったね。
いつもは狭い大きな部屋が、
もう広く小さい部屋になっちゃったよ。
「少しくらい私のことを見てよ、少しでいいからさ」
その言葉が貴方には伝わらなかったの?
「少しくらい貴方のことを見せてよ、もっと貴方のことを知りたいの」
って私が貴方を見ればよかったの?
私のことをよく知る貴方の瞳に、
私はどう映ってたの。
はしゃぐ姿も、悲しむ姿も、
貴方だから見せてたんじゃなくて、
貴方と一緒だから見れたんだよ。
でも私は貴方のこと知ってたのかな。
貴方のアレルギーも、苦手なものも、
付き合ってる病いも。
今の私にはわからないし、過去の私もわからなかったのかな。
「貴方の話をもっと聞いていれば、些細なことに気づいていれば」
あの言葉がもっと伝わったのかな。
「貴方のそばにいるだけじゃなくて、横で同じ景色を見させてよ」
そばにいるだけじゃ私じゃなくてもいいんだね。
君の残したアルバム
これは私のアルバムみたい。
だって私の写真ばっかだもの。
あぁ、私たちのアルバムはどこにあったのかな。
もう涙が止まらないや。
「少しくらい私のことを見てよ、少しでいいから」
あの時間に戻りたい。
「もっと貴方が知りたいの。お願いだから」
この時間を2人のアルバムの1ページ目にできたらな。
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