真犯人
みかん
第1話
時は西暦六千百七十四年。これを読んでいる原始人の皆さんには想像もつかない程、科学は進歩していた。
ここはその世界のある小さな街のある通り。かつては人も少なく、小鳥や虫の鳴き声が響き、豊かな大自然に穏やかな田園風景が魅力的だったこの田舎町でさえ、時の流れは早くなっていた。
人々は空を自由に飛び交い、遥か遠い宇宙にすら旅をし、過去や未来をも自在に行き来していた。かつて人々が夢にまで見た漫画の世界の全てが現実として起こっていた。そんな賑やかな通りに二人の若者が降ってきた。彼らは上空から猛スピードで落下したが、地面に近づくにつれて備え付けられた安定機能によって減速し、緩やかに着地した。彼らは辺りを見回すや否や喋り出した。
「未来の僕に指示されてここに来たのは良いけど、何が何だかさっぱり分からないよ。空飛ぶ車に空飛ぶ家…。人間まで空を飛んでる!」
「何ここ…。遠い未来って言われてイメージしてみたけど、とんでもない所に来ちゃったのかも。ん? あれはもしかして蜜柑君?」
女は男に近づいた。彼も混乱している様子だったが…。
「君、蜜柑君よね? 君の指示でここに来たけど、ここでどうしろって言うのよ、何が何だか分からないんだけど」
「急になんだい、君は。僕も何が何だか分からないよ。僕にいうって事は、君ももしかして未来の僕に指示されて来たの?僕は彼に指示されてここに来たんだ」
「未来の世界? まぁそうだけど。君が君を指示って言うのはどういう事?」
「うーん、これはややこしいんだけど…」
男は状況を女に話した。
「ふーん、未来の世界の君はとんでもなく迷惑ね。でも、ここに来たのが私だけじゃなくて良かった。協力してこの世界で生きていこう」
「うん、迷惑かけてごめん。僕に言われても困るけど…。そうだね、まずはお腹が空いたし、何処かに食べに行かない?」
「いいわね、あそこのレストランなんてどうかしら」
二人はあるレストランに入り、店員に案内され、席に座った。すると、メニュー表がない。これはどういう事だろう。
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