第17話 嫉妬

付き合い始めると、彼は家庭の事を話し出した。


特に奥さんのこと。

彼の奥さんは非常に気が強く、トラブルが絶えない人らしかった。

医院の歯科衛生士さんや患者さんへの高圧的な態度に苦情が日常的にあり、喧嘩になることが多かったようだった。


喧嘩になるとヒステリックになる為、

もう、諦めていると話してくれた。


その頃から夫婦の性生活が苦痛になったが、

奥さんは常に求めてくるがどうしても

そんな気持ちになれなかった。

奥さんは益々イライラして、耐えられない言葉で彼を傷つけた。


それでも、子供達の為に離婚はしたくなかった。

自分が我慢すればいいと考えていた。

そんな時に私と出会ったらしい。


「ナミといると癒されるんだ。

そうするとね、奥さんにも優しくできるんだ。

だからね、奥さんもご機嫌なんだよ。」


そうなんだ。変な夫婦だこと。

これが仮面夫婦ってやつなのね。

奥さんに悪いと思ってたけど、私が

癒しになって、奥さんに優しくできるならいいのかな。


彼の話は別次元のことばかり。

奥さんが株で3000万円損失したとか

毎年、ハワイに行くとか、、。

車も実は何台もあること。

自宅以外にも土地を沢山持っていること。


もう、桁が違いすぎて茫然と聞くしかなかった。


ある年の年末年始もハワイに行くからと

言っていた。

ナミコは別に他人の家の事には興味が無かったし、何とも思わなかった。


(楽しんできてねー!)

とメールを送ったら、

(ナミは僕にヤキモチを妬かないね。

男は少しは妬いてほしいんだけどね。)


ヤキモチー??

何のために?

私は私なりの年末年始の過ごし方があるし

奥さんとハワイでエッチをしても

夫婦なんだから当たり前だし、、。


めんどくさいと正直思った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る