ジェネシストライ~選ばれし者は自由に生きたい~

どんぐりあざらし

暗躍する組織

夜の街を青い髪の少女が走っていた。

右手にはオーラを纏った剣を携えて追いかけてくるドローンや兵士から必死で逃げる。

地面が見えない摩天楼の屋根を飛び越え、パイプを登り建物を使って必死に追跡から逃れようとする。

可憐な見た目からは想像できない脚力で夜の街を飛び回り、発射されるレーザーを空中でその身を翻しながら剣で弾き返す芸当はその少女が一般人ではないことが伺える。

少女が天井のガラスを破り無理やり建物の中に入るとそこは街のゴミ処理場だったようで、ロボット達が招かれざる少女に驚いているようだった。


「武器を捨てて投降しなさい、エクス」


声の主が暗がりから現れる。

全身黒い戦闘服の上にアーマーとマントを身につけて顔には黒いフルフェイスのヘルメットを着けて顔は分からない。

強いて言うならヘルメットの後ろから白く長い髪が見え、体付きから女性という事くらいしか分からない。


「ヴァルキュリアドライブ…帝国の特別執行官ね」

「ヴァルキュリアドライブ所属のルーニャ・エルリアッテです。あなた達エクスオーダーが帝国のデータベースから情報を抜き取ったのはもう知れてるわ。今投降するなら命までは奪わない」

「ふざけないで!死んだって帝国に投降なんてしないわ!」


エクスオーダーと呼ばれた跳ねた長い青髪の少女は紫色の刀身を目の前の敵に向ける。


「そう、なら仕方ないわ」


ルーニャが地面を蹴ると弾き出されたように少女に迫り、腰から筒のようなものを取り出すと先端が開きそこから緑色のオーラを纏った刃が出現し主人の敵へと襲いかかった。

少女は突然のことに驚いながらも飛び上がって斬撃を避けるがルーニャは背中にマウントしていたレーザーライフルを発射する。

何とかレーザーを弾きながら天井の柱の上に登る。


「ざけんじゃないわよ!ブレード使うくせにブラスターなんて!誇りはないわけ?」

「ブラスターを恥と思うのはエクスだけ、ヴァルキュリアは使えるものはなんでも使うわ」

「ほんと野蛮よねあんた達って!誇りもないどうしようもない連中よ!」

「誇りで勝負に勝てるの?」


少女は手をかざすと落ちていた破片や鉄板などが浮き上がり手を振るうとそれら全てがルーニャに向かって襲いかかった。

ルーニャは同じように手をかざすと襲いかかって来た破片等はまるで壁に阻まれたようにピタリと彼女の前で止まり手を横に振るうとそれらは手を振った方へと流れて落ちていった。


「ブラスターと何が違うの?」

「何もかもよ!」


天井からルーニャに斬撃を放ち、2人の剣がぶつかる度にバチンっという激しい音が何度も響く。

2人の剣技はほぼ互角でどちらも1歩も引かずに激しい打ち合いが続いていたがルーニャが距離をとってブラスターを構えた瞬間、少女が距離を詰めてブラスターを斬り上げた。

しかしその瞬間がら空きになった少女の胴体をルーニャが斬り裂いて顔面に回し蹴りを喰らわせた。

  少女は顔面と高熱のブレードで斬り裂かれた腹部の痛みでのたうち回りながら這いずって距離を取ろうとするがルーニャはゆっくりと歩いてくる。


「ブラスターで釣ったら直ぐに飛びついてくれたわ。あなたわかり易すぎるのよ」

「あっ、ぐっ、くぅ…っ!」


自分の剣を取ろうとするが、ルーニャによって蹴り飛ばされ無惨にも剣はゴミと一緒にどこかに運ばれてしまった。


「さあ、もう終わりよ。データを返しなさい」

「はぁ…はぁ…絶対、嫌よ、クソ喰らえ!」


少女が叫びながら手をかざすとルーニャは数メートルふぎ飛ばされ積み荷の山に激突した。

積み荷の中からルーニャが抜け出し少女のいた場所を見ると、そこにはほんの少しの血液が残されているだけだった。

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