Death Class
冬結 廿
陰夜
声が聞こえる。
「どういう気分?」
夢の話は形を保ち、人格を形成する。
ピンクの髪に、星型のヘアピン。腰まで伸びてるロングヘア。
瞳は、琥珀色。
服は、ピンクを基調とした、かわいいデザインで。
声が聞こえる。はっきりと目の前のその女から。
「今、絶望の顔をしている君はどんな気持ち?」
途端、笑い声が聞こえてくる。
人の狂ったような、獣の雄叫びのような、死人の空耳のような、そんな、おかしな笑い。
女の子は急に顔を
僕が何か言ったのだろう。
「そう。」
と、体を
「待ってメメ!」
と、そこで俺は、Vtuberの“
「…夢か。」
少し残念ながら、過去のトラウマを引き出された俺は、顔を洗おうと、下の階に降りる。
一階には誰もいなかった。あぁいや。家には誰もいないんだけど。
顔を洗って。腕時計を見る。あ、まだつけてないや。
時計を見る。時間は9:24。
今日は休日で。
俺は着替えている。
パソコンには、“由良木メメ”の配信がついている。
それを片手間に、キャリーケースに着替えやらなんやらを詰め込んでいる。
なんで俺が、こんなことをしているのか。
それは、この紙っきれのせいだ。いや、おかげというべきか。
〜
9/16から9/18に二泊三日の遠足を予定しています。参加は自由です。
詳細はSKYNETにて。
そう。この予定だ。まぁ、僕らにとって、参加しない手はない。
ちなみにSKYNETってのは晴丘高校のネットワークだ。
着替えが終わり、腕時計をつけ、腕時計のさし示している時刻を見る。
時刻は、10:51。
よしいくか。
そう思い、家を出た。
「あ、忘れるところだった。」
玄関にある、昔の家族の写真。そこには俺と、両親と妹が写っている。
俺も妹も、かなり小さく、両親も若い。
「行ってくるな。お前ら。」
そう言って。
俺は学校とは逆方向へ歩き出した。
*
「
「うっさいわね、まだ13秒しか経ってないでしょ?!」
そんな忙しそうな朝。ではなく、11時。ギリギリ、昼と言えるこの時間帯に、学校へ行く準備をしていた美琴を見ながら、俺はその家の玄関で暇を潰していた。
そう。学校と逆方向にあったのは。
この幼馴染兼彼女の
スマホで、推しの配信“由良木メメ”を見ながら、待っていると、やっと階段から降りてきた。
そこにいるのは、いつもの制服姿ではなく、白の長袖Tシャツにクリーム色の半袖パーカー。下には紺色のロングスカートを履いた、美琴がいた。
「まーた、そんなん見てんの?
「別にいいでしょ?可愛いは正義だし。」
「可愛いってこの子が?」
と、由良木メメを指差す、美琴。
「うーん。ビジュがあんまり…」
「はは、お前には言われたかねーな。」
「なにをー!」
と、美琴は学校へ向かうべく、履いた靴の爪先で地面を叩いた。
コンコンという音が、玄関にいくつも重なった。
*
「美琴のキャリーバッグは俺と似て地味なデザインだなぁ」
「うるさいわねぇ。あんたの感性が写っちゃったんでしょ」
「しらねー、うつした覚えはねぇしな」
「じゃ、もらったってことかもね」
「いる?そんなの?」
「はは、いらないかも」
そんな特有の会話をしながら、ガラガラと荷物を引きずる。
「そういえば、今日は晴れだけど、明日から曇りだったよね?大丈夫かな」
「まぁ、山の中腹だし、雨が降ることもあるかもな…でも、俺らは屋内で、あいつらだけ屋外で雨に濡れて遊んでそうだよな」
「あー…ありそう」
行き先は学校だ。
でも学校に行くようには見えない。なんてったって、キャリーケースを引いているのだから。
9/16。今日は、遠足の日だ。
某ウイルスのせいで、高2の修学旅行がなくなってしまったため、先生の粋な計らいで、3-Dだけ、遠足ができることになった。
3-Dってのはゲーム機ではない。
3年のD組と言う意味だ。
生徒たちは俺と美琴を含めて30人いるが、投票をしたところ、4分の3ほど肯定的だったので、行くことが決定したのだ。
「…やーっとついた」
「なんかいつもより長く歩いた気がするね」
「美琴が手を繋ぎたいとかいうからだろー」
「それは、そうかもしんないけどさー」
歩いて、22分。
目の前に晴丘高校がどっしりと構えている。
今日は休日のため、誰も他のクラスの生徒はいない。
が、3-Dだけはちがった。
「おっはー、みこと!」
「おはよ!みんな可愛い服着てるね」
「でしょー?ねね、“くるみ”君もなんか言ってよー」
「…俺の苗字は、
「あ、そうそう、久留米君、どう?似合ってる?」
「人の名前覚えてないやつの服は似合ってない」
「むー、何それ。」
そして、学校に集まった。
「よし、30人だ。皆ちゃんと来れて偉いな。」
本当だ。
「バスに乗るから、荷物は、こっちに入れる。番号順に並んで、荷物を順々に入れるから。」
そうして、順に並ぼうとした。
…が、このクラスに順番に並ぶという基本的なことは存在しないので、自由に並ぶ。
それを先生は咎めることもなく、荷物を順々に入れる。
「…?乙葉、キャリーケース二個なのか?」
「え、違いますよ?」
「あぁ、そうか、なら俺の勘違いだ、すまん。」
なんか勘違いがあったらしいが、解決したならいいんだ。
っていうか、そんな間違いするなんて、秋山先生も歳をとったなぁ。
バスの中は、右側に2つ並んだ席、左にも同じような席があり、それが10列あった。一番後ろにはギリギリ5人入れるので、このバスは、45人乗りだ。
まぁ、そんなことはどうでもいいが。
適当に席に座る。上から見た時の右側。前から四列目の窓側の席に座った俺は、窓から高校の校舎を眺めていた。
学校が二階建てだけなの珍しいよななんて思いながら。
晴丘高校。珍しく、公立で人が多い高校だ。
AからD組の4つのクラスで生徒は150人ほど。
その中で、D組だけは30人なのだ。
そう。D組は、隅に避けられた人の塊。
隣の席には、加藤が座ってきた。
そう。こんなふうな。
バカでアホであたおか。それが
「よっ、乙葉。いきなりだけど、おれ、美琴さんの今日のパンツの色当てていい?」
「…いいよ。」
「ズバリ…水色だ!」
「残念、水玉だ。」
「えー!惜しくね?」
でも、そんなこいつと仲良くしている理由は。腐れ縁だ。何気に小学校に入る前から知り合いだった。
ちなみに今日の美琴のパンツの色は知らない。昨日は白だった。
…これじゃ、変態だな。
バスの中では特にすることもない。
あるとするなら加藤の馬鹿話に付き合うくらいだろうか。
「っていうか、乙葉って、他の女子から告白とかされてるとこ見たことないなぁ、やっぱ、美琴さん一択なんですか?」
「あんまりわかんないけど…そういうことなんだろう。っていうかそういうことにしておいてくれ。」
「ははっ、そういうことにしてやるよ。でもいつかちゃんと見せてな?」
バスで揺られ、50分。
この長山はスキー場でもあるが、今は雪なんてなく、だだっ広い土地を使って、BBQができる。
だいぶ効率的な使い方だよな。
ということで。旅館内に自分の荷物を運び出し、早速BBQの準備に取り掛かる。
ちなみに、尾根崎は三年になってからの仲だが、結構良好だ。…理由としては、俺と境遇が似ているって感じ。
火付けは隣にいた
凛さんとは、中学からの仲。…いや、小学だったっけ?いつもはコンタクトレンズだけど、今日はメガネだった。フレームが細い黒縁だった。
「うんうん。そんな感じに、木炭が燃えてくると、火が移るから、そしたら、山を崩して、均等に熱が渡るように広げてね。」
「うっす…がんばります!っというか、凛さんはあっち見なくていいの?」
「あぁ、いいのいいの。あっちの陽キャグループとは合わないもの。」
俺らのクラスは、二つに分けられる。
それは陽キャと陰キャ。
まどろっこしいものなしでこんな綺麗に別れるのだ。わかりやすい。
ちなみにあっちの陽キャグループは、火をつけるのに手こずっていた。
それでもキャピキャピ笑いながら、火をつけていた。
俺らは陰キャ。あっちは陽キャ。
わかりやすいでしょ?
でも、めんどくさいことに、このクラスには、わかりやすいいじめがあった。
それは…。
「…火、もしかしてもうつきました?燃えやすいような木とか持ってきたんですけど…。」
まぁ、いじめというか。
___あいつ、うざくね?あんなにうちの狙いに尻尾振ってさ。
___もう、関わらないようにしようよ、みんなで。
___はは、いいねそれ。
伊藤桜子さんと、
かわいそうだよな、なつめさんも。
そんないじめがあったけど、俺は覚えていないかのように、知らないかのような感じでなつめさんと会話をしていた。
すると周りの人間は、ちゃんと会話をするようになり、無視していたことを謝るものまでいた。
まぁ、あの三人は結局謝ることなんてなかったけど。
でも、1人が変わればこんなものなのかと。
そう思ってしまう。
「あ、そこに置いといて。火が弱くなったりしたら、追加して、火が消えないようにするから。」
「あっ、オッケーです…」
他にもこのクラスには問題と問題児と、めんどくさいことがいっぱいある。
それを含めて、3-D。
Death class。死んだ教室。そう、他の先生やら、生徒やらから言われている。
三年生でも、学力はほとんどなく、常識もモラルもありえないといわれたほど。
そんなクラスは、たかが三年で卒業なんて虫のいい話もなく。
こんな受験期でも、かるーいノリでBBQができる。
「…肉ってどこあるっけ。」
そんな幽霊みたいに俺の後ろからきたのは、
「そっちのテーブルじゃなくて、クーラーボックスのほうにあるよ」
「じゃ、そっちか〜」
まぁ、なんというか空気薄いやつだ。でも、真顔なことも多く、テンション感が掴めないやつでもある。
といえば、空気が薄いやつは他にも。
…ぼーっとしているのは、いつも遠くを見ているというのを、彼女から聞いたことがある。
「黛さん、お肉食べます?」
声をかけたが、帰ってきたのは顔を横に振る動作。
まぁ、あんまり関わりたくないのも無理はないだろ。…大人数が嫌いなのだから。
「おーい、帰ってきたぞー」
「…うるさいなぁ。」
山の方から帰ってきたのは、
きのこ博士の
最近、割とこの2人は仲がいい。
まぁ、側から見てりゃ、ボケとツッコミにしか見えないのだけど。
「あっちの方で?キノコ取れたの?」
「…ダメだった。山菜ならあったかもだけど。」
「…流石に山菜まではわかんないしなぁ。」
そんなことを言いながら、腕時計を見てみると。時刻はもう、16:20。
「…そろそろ帰ってくる時間だと思うけど…。」
と、心配してたのも束の間、秋山先生と、その車から、
彼らは所謂中立派であり、陽キャにも陰キャにも属さない。
…が、瑛人が隠キャ側、詩音が陽キャ側の味方をするので、結局、対立は15対15で変わらないのだ。
「ありがとう、瑛人。わざわざ、色々買い出しに言ってくれて。」
「なーに、いいってことよ!」
彼が買いに行っていたのは、たくさんの飲み物に、食材に、紙皿、箸や、アルミ、たこ焼き器と材料まで買ってきていた。
「…なにこれ」
「たこ焼き器だよ?」
「…タコなんてあるの?」
「あるでしょ、ここに。」
そう言って指差したのを見て、紅葉さんは笑った。
「あはは!これタコじゃないよ!」
「え!?」
横にいた、黛さんが言った。
「これ、ゲソじゃないの?イカの。」
「え、マジかよ…」
ここで俺の中には、瑛人はイカとタコの判別ができないが追加された。
みんなに笑い物にされた瑛人は顔を真っ赤にしていた。…タコみたいだな。
*
このBBQの班は10人で一つの班だ。
まぁ、そんな決まり守るわけもなく、BBQセットを、二つ、陽キャグループが持ち、陰キャグループは一つだけだ。
なので、焼く効率を考えて、瑛人はたこ焼き器を買ってきたのだろう。
…まぁイカ焼きになりそうだけど。
「どうだい、お肉は焼けてる?」
「ん、野菜切ってきたよ。」
梟館から出てきたのは、調理班、まぁ野菜を切るだけの仕事だった、
「今回は首謀者は何も起こさなかったか?」
「いつも起こしてるわけじゃねぇから!」
椚丘は、この前の調理実習で、火事を起こしかけたので、それから首謀者と呼んでいる。
まぁ仕方ない。
葉山さんはそれを阻止する係だったが、今回はとくに何もなく。梟館が火事にならなくてよかった。
梟館は木造建築だからなぁ。
「ありがとう、それじゃ、野菜も焼こうか。」
「いや!ダメだ!」
そこで加藤は、叫んだ。
「俺は肉だけがいい!」
「うるせー」
そいつの皿にピーマンを乗せてやった。
「あー!?俺のユートピアに絶望の緑が…」
「ふふ、それじゃ、野菜を焼いちゃいますか。」
美琴はそう笑い、野菜を焼き始めた。
きのこは結局なかったのだが、首謀者…ではなく、椚丘と葉山が切ってきてくれた野菜は結構美味しかった。近くにあった地元の売店で買った野菜らしく。
大体の野菜がいつもより大きく、みずみずしかった。
そして、BBQを楽しむ中、釣りの人が帰ってきた。
「どうです?釣れました?」
「…あんま釣れなかった。」
そう言ったのは、
彼は、割とアクティブな性格なので、こっちの陰キャグループにいる理由がよくわからない。
でもまぁ、居心地がという理由でこっちにいるのだろう。
バケツの中を見せてもらうと。二匹ぐらいの小さな魚と、中くらいの魚が三匹。
「これって鮎じゃね?」
と、尾根崎が言った。
「…多分そう。鮭かなとも思った魚もいたけど。ぱっと見じゃわからん。」
と言って。
「管理人に、確かめに行ってみるわ。」
と、梟館に駆け出して行った。
のと、入れ違いで。
「ふぁ〜おはようございます。みなさん。どうです?BBQの調子は。」
彼女は
ちなみに、性別がどちらかがわからないという、不思議っ子だ。
こういうやつは、オトコの娘というべきなのか?いや、元の性別がわからないから、そうとは言えないのか。
そんな、彼?彼女?は焼いてるお肉を箸で摘んで自分の皿に置いた。
「乙葉くんこれってなんのお肉?」
「豚ヒレ。」
…見てわかるでしょ。
ここで俺の中に、水橋は肉の見た目の判別がつかないが追加された。
「じゃ、いいや。乙葉くん食べる?」
「いや、いらないけど…」
「遠慮はいいから。ずっと焼いてて、食べれてないでしょ?ほら。あーん…」
とここで、横から何かが飛んできた。
割り箸だ。
いや、割り箸投げるとか、どういう教育受けてんの?
…いや、D組だから、まともに受けてないのか。
それをほっぺに刺さるように当たった俺は、割り箸を投げた犯人を探す。
「誰だ!箸投げたやつ!」
と、大きな声を出して探す。が、箸を持ってないやつなんて探すのは容易で…
「美琴!?なんで投げた??」
「乙葉にあーんするのは私だけで十分だもん!」
と、割と怒ってる美琴は、肉をいくつか、皿に入れてこっちにきた。
「ほら、あーん」
「あーん…」
そのやりとりをした後、周りからの視線は何か大切なものを見ているかのような視線だった。
やめろやめろ。そんな目でこっちを見るな。
その後、鮎の塩焼きを食べたり、瑛人の作ったたこ焼きならぬイカ焼きを食べたり、鮭を三枚おろしにする黛さんが見れたり、焦げた肉を食べる定番が紅葉さんに当たったり、美琴と水橋が口喧嘩し始めたり。
ちなみに鮭は雪弥が「もらってきちゃった」と、嬉しそうに持ってきた。きっと管理人にもらったのだろう。
その後、時間はあっという間に過ぎ去り、22:00を回っていた。
陽キャグループは風呂に入りに行ったため、俺らはひっそりとBBQを続けることに。
「…そういや…今日本当にまみさんってきてんのかね?」
「…いやぁ、今日は30人いるって秋山言ってたしなぁ。館内にでもいるんじゃね?あの人保健室登校だし。」
陰キャグループは、30のきっちり半分。15人で、今日まだ見てないのが、
まぁ、あの秋山が30人いるって言ってんだからいるんだろう。
そんなことを思いながら余った野菜を焼く。
「ちょっと火弱い?」
「なら…」
なつめが拾ってきた木を、入れる。まぁこれで火が戻ればいいのだが。
「…?なんか火弱くなってね?」
そう思った瞬間。白い煙が焚き火からもくもくと上がってきた。
この薪は、濡れた薪。
しかも、木の枝なので、外側の木が水分を多く含み、中が水を含むぐらいになっていて、火はなくなり、たまに破裂音が鳴る。
「ちょちょ、何が起きてんだよ!?」
椚丘がそう言う。
「ちょ、トング!」
「はい!」
俺の要望にいち早く対応した、美琴。
そのおかげか、破裂する木の枝は全部取り出せた。
「なーんでこんなこと起きてんだろう?」
「…動物かなんかが火薬でも入れてたんでしょ。」
その声は。
叢雨まみさんだった。
「あ、まみさん、やっぱりちゃんといたんですね。」
「…まぁね。あんまり気は乗らなかったけど。」
「今までは何してたんですか?」
「…?いや。特に何も。強いていうなら、紫外線が嫌いだから出てなかっただけ。」
…と、ここで陽キャグループが風呂から帰ってきた。
「それじゃ、そっちのグループも、お風呂に入ってね」
そんなことを言う、
意外に陽キャにしては静かな方だが、勉強できて、スポーツができて、そしてイケメンという、すごいポジションに居る人だ。
俺はこの人を天性の男と呼ぼうと思う。
…まぁいいか、ちゃっちゃと入りますかね。
火も消えちゃったし。
そして、俺らは風呂に入りに行ったのだが。
そこで初めて、露天風呂が混浴だと知った。
まぁわかった経緯はこうだ。
まず加藤が一番最初に露天に入りに行ったのだが。
一発の平手打ちをされて帰ってきて、わかったと言うことだ。
「な、何があったん?」
「…聞くな。」
「お、おう。」
んで俺らが露天に入ろうと思ったら。
もちろん、女どもがきゃっきゃっと入っており。逃げる様に、中の風呂に戻ったのだ。
「…あぶね。社会的に死ぬ寸前だった。」
その後、風呂から上がり、時刻は、23:30。
眠くてもう寝るやつもいれば、まだまだこれからだと言うもの達もいるが。
今日は結局、24:00までには梟館に入らないと外に閉め出されるため、渋々みんな入って行った。
部屋割りは自由。
1部屋4つまでベッドがあり、部屋は40部屋あった。
俺は、尾根崎と加藤と同じ部屋だった。
「なんか、BBQ楽しかったといえば楽しかったけどよ〜」
「何だ?なんか思い至らぬ点でも?」
「いや、そうじゃないけどさ。このクラスやけに対立してるから、あんまし一緒にはいたくねーなって」
「それはぼくも同意だよ。」
…クラスの奴らは、一癖も二癖もある奴らばっかりだ。
こんな進学校に集まった、頭のおかしい奴らは、3-Dと言う、端っこに集められたのだ。
このクラスの奴らは、社会不適合者がいっぱいいる。
「ま、仕方ないっしょ。」
そう思い、俺たちは夢の世界に飛び立った。
…あれ?
「そ…いえば、乙葉、薬ちゃ……飲ん…かよ?」
「あ、……てた。」
「…乙葉もかわい…だよな。だって、家族が………な」
まだ、狭間に残っている。
「…あぁ、だから、精神安定……飲んでるのか。」
「…お前ら……広めんなよ?」
「ういうい、わ…てるつーの。」
「…でもさ、ひどくなっ…言った方がいいからね」
「…尾根崎が心…くれるのは、なん…な気分になるな。」
「あ…、…だな。」
これで、終わりか。ここは夢かどうか、わからない。でも。
ここは自宅ではないのが、夢の浮遊感でわかる。
そして、その後、夢から覚めて。
目を開くと、見知らぬホテルの1人部屋で目が覚めた。
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