君に惚れたことに、違いはないさ。

お題:遅すぎた真実 制限時間:15分


胸が高鳴った。どうして〇〇の夜景というのは寂しいのだろう。

そしてどうしてこんな場所で、僕は愛の告白のために口をまごつかせているのだろう。

「あの……言いたいことがあって」

少し震える言葉を絞り出す。

「うん」

彼女は、僕の話をいつも聞いてくれる。悩みを口ごもるときも、興奮気味に趣味について語るときも、そういう君が好きだよ、と言って聞いてくれる。彼女も、化粧品や、紅茶、ケーキについてはまくしたてる様に語るから、僕らの間では相手の話をゆっくりと聞くのは、もはや当たり前で。

「本当は……怖いと思ってる、えっと、この話をすることが、本当は良くないんじゃないかって」

だからこそ、僕は自分の胸の内にある恐怖を先に打ち明ける。

「ふぅん、それはまた、どうして?」

少し微笑みながら、目を少し細めて聞き返される。

「僕は……この関係が好きなんだ。この……お互いに穏やかな敬意と柔らかな友愛の交じり合った関係が……だから」

「だから?」

「この関係を、僕と君だけの、特別なものである誓いが、欲しく、て……」

言葉が続かない。肝心なものだけは、軽くは喉を通らない。

「うん、とっても分かるよ」

そして

「だから、僕は髪も綺麗に整えられないし、靴下を履くのも嫌うような人間だけど、それが女性の眼で見て魅力的でない事も分かってるけど……僕と付き合って欲しい」

自分でも半ば訳の分からない事を口走って、そのままの勢いで告白した。

「もちろん、でも、一つだけ訂正してほしいかな」

彼女は僕の前に立つ。

「女性の眼で見て、じゃなくて、私の眼でみて魅力的かどうか、が大事なんじゃないかな」

いつも彼女は、大切なことを見抜く。そして言葉で射抜く。

「その通りだね」

「だって、私、男だし」

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