元魔王様とダンジョンマスター美咲 5
ダンジョンに戻ってくると階層が更に増えていた。
美咲がどんどんダンジョンマスターとして自分のダンジョンを成長させていっている。
「美咲、魔物はここに置いておくぞ。」
「ありがとうございます。先程の分でもかなりのポイントになったのでこれで暫く困らなそうですね。」
美咲が嬉しそうに言う。
大量のダンジョンポイントがあればダンジョンマスターとして色々出来る事が増える。
「今は何をしているんだ?」
「階層と階層の位置を入れ替えているんです。新しい階層を作るとなると一番下にきちゃいますからね。」
「ダンジョンコアを最下層に配置する為の階層移動か?」
「はい、一番下にダンジョンコアや居住区をもっていきたいですから。」
ダンジョンの心臓部であるダンジョンコアを上層に設置する訳にはいかない。
居住区も荒らされたくは無いのでダンジョンコアと一緒に最下層に設置する。
「一先ず十階層まで増やしてみました。」
少しして美咲が作業を終えた。
何も無かったダンジョンが一気に拡張された。
「それでもポイントは余っているのか?」
「まだまだ沢山余っていますよ。なので少し高いですがこれを設置しちゃいます。」
そう言って美咲の足下には光り輝く魔法陣が現れる。
「何だこれは?」
「これはダンジョンの階層を移動出来る転移魔法陣です。ダンジョンマスターの許可を得た人だけが使える物ですね。ジルさんと天ちゃんは使えるのでいつでも最下層に直ぐ来れますよ。」
「そんな便利な物があったとはな。」
ジルは前世を通してかなりのダンジョンに入った事があるが初めて見た。
おそらく魔物のダンジョンマスターは設置する意味が無いと判断して使用しなかったのだろう。
一度転移魔法陣に乗って入り口に転移してからまた最下層に転移してみる。
目の前の景色が瞬時に切り替わっての移動が出来てかなり便利だ。
「ダンジョンコアの階層は殺風景だったが随分と変わったな。」
「買い物が楽しくて沢山買って置いちゃいました。あちらの扉が皆さんで使用出来る部屋になっています。まだ家具とかは置いてないので後で色々と置いてみますね。」
これだけ買ってもダンジョンポイントは余っている。
なのでまだまだ買い物が楽しめる。
「私はベッドを希望。」
「分かっていますよ。欲しい物を言ってもらえたらその都度追加しますね。」
「それは便利でいいな。」
ある程度の要望はダンジョンポイントで叶えられるらしい。
この世界と美咲が元いた世界の物に関しては異世界通販のスキルを上回る力となっている。
「あ、丁度お昼時ですしダンジョンポイントを使って食事にしませんか?」
美咲が腕に付けている腕時計で時間を確認して言う。
これもダンジョンポイントで交換した物だ。
「それはつまり異世界の料理と言う事か?」
「そうですね。私も久しぶりに食べたいですから。」
「楽しみ。」
ジルは高いお金を出して食べた事はあるが天ちゃんは未経験だ。
異世界の食べ物には興味がある。
「何か食べたい物の希望とかありますか?」
「ならば牛丼と言う物を頼む。前に見て美味そうだと思っていたのだ。」
「私も同じの。」
「牛丼ですか。私も久しぶりで楽しみです。」
美咲はチェーン店で買える様な普通の牛丼を何種類か選択して取り出す。
比較的安価な食べ物ではあるがこの世界では食べられない料理なので美咲も目を輝かせている。
「「「いただきます!」」」
三人は手を合わせて牛丼を食べる。
美咲は慣れているので割り箸だが、ジルと天ちゃんはスプーンだ。
「美味い!」
「んー!」
「これですよこれ!」
ジルと天ちゃんは初めて食べる牛丼の美味しさに、美咲は久しぶりに食べる懐かしい味にそれぞれ大興奮である。
食べる勢いは増していき直ぐに容器が空になっていく。
「美咲、お代わりはいいのか?」
「問題無いですよ。今度は少しグレードを上げた牛丼をどうぞ。」
次に美咲が取り出した牛丼には先程と違ってトロッとした黄色い物が乗っている。
「これはチーズか?」
「正解です。その名もチーズ牛丼。カロリー爆弾ですけどとっても美味しいですよ。」
言われるがままジルは一口食べると目を見開く。
「確かにこれは美味いな!」
「美咲、私も食べたい。」
ジルの反応を見て天ちゃんも空になった容器を見せながら手を挙げている。
美咲はあまり食べると太りそうなので一つで止めておいたが、ジルと天ちゃんは凄まじい勢いで完食していった。
「結構お代わりしてしまったが、ダンジョンポイントだと牛丼の値段はそこまで高くないのか?」
「うーん、どのくらいが高いかポイントだと説明が難しいですね。でもジルさんと天ちゃんが狩ってきてくれた魔物の合計が十万ポイント以上あって、牛丼は全部で五百ポイントくらいなので安いんじゃないですかね?」
「なんだと!?それは革命的な値段だ!」
消費したダンジョンポイントを聞いてジルは驚く。
あれだけの魔物をギルドへ持っていけば相当な金額で売却出来る。
しかしそれを使って異世界通販のスキルで牛丼を買っても今回の様に満足するまでは食べられないだろう。
「今後も異世界の料理を堪能したい時は美咲に頼むとしよう。」
「お安いご用です。あ、お代わりいりますか?」
「貰おう。」
異世界通販のスキルで買ったとすれば大金貨や金貨が山の様に飛んだ事だろう。
地球の物を買う時だけは美咲の力の方が遥かに安上がりなので、今後も利用させてもらう事にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます