知識の精霊と金策兎 4
ついに苦戦していたラピッドラビットを狩る事に成功する。
「やっっったのじゃあ!」
ナキナはラピッドラビットを倒す事が出来て喜んでいる。
相当ストレスを与えられていたのか両手を上げて大喜びだ。
「お見事なのです。ライムもよくやったのです。」
シキの小さな手に撫でられてライムは気持ち良さそうに揺れている。
「ライム殿、助かったのじゃ。妾だけでは仕留められなくとも助力があったおかげで狩る事が出来たのじゃ。」
ナキナは嬉しそうにお礼を言い、ライムも助けになれて嬉しそうだ。
本来石化のスキルは身体全体又は大部分を石に出来る力があるのだが、ライムの石化は本来の力を発揮出来てはいない。
石化と言うスキル自体が強力で魔力消費も大きく扱いが難しいので、成長中のライムでは仕方が無い事でもある。
それでも今回は充分な活躍であった。
「この調子でどんどん狩るのです。ラピッドラビットは何体いてもいいのです。」
食べても美味しいし需要があるから買い取ってもらう事も可能だ。
ジルと真契約したおかげで一部のスキルを共有出来ているシキには無限倉庫のスキルも使えるので保存の心配も無い。
「了解じゃ。しかし他の冒険者から苦情がきたりせんかのう?」
ラピッドラビットは需要に対して供給が追い付いていないので高値で売れる。
それを自分達だけで狩って他の人の獲物を独り占めする様な真似をすれば文句を言われるかもしれない。
「ラピッドラビットはナキナ単独でも狩れない魔物なのです。そう簡単に狩れる人はいないのです。」
初心者向けであるミハラ草原を見回すとあちこちに冒険者が見えるが装備からして駆け出しや新人だと思われる者が大半だ。
相手にしているスライムやホーンラビットとの戦闘も手慣れてるとは言えない。
これではラピッドラビットを狩る事は難しいだろう。
「それでもラピッドラビット目当てで来てる高ランク冒険者もいるかもしれないのです。ちゃんと獲物は選んでから狩るのです。」
「そうじゃな。気を付けるとしよう。」
他の人が狙っていそうな獲物にはトラブル回避の為に近付かない方がいい。
周りに人がおらず単独で動いているラピッドラビットを狙うのが確実だろう。
「ふぅ、休憩終わり。ってもう魔物狩ってるの?」
移動疲れから休憩していたリュカが戻ってきた。
「そうなのです。今日のメインの獲物なのです。」
「へぇ、ホーンラビット…じゃなくてラピッドラビットじゃない!」
リュカが地面に倒れるラピッドラビットを見て驚きながら言う。
市場にあまり出回らないのでリュカは滅多に目にしないものの、その違いくらいは知っているらしい。
「今日はラピッドラビット狩りで金策するのです。」
「はえ~、ラピッドラビット狩れるんだ。…ちょっとだけ宿屋に回してもらうなんて事はどうでしょうか?」
リュカが顔色を伺う様に小声で尋ねてくる。
「リュカにはお世話になってるから大丈夫なのです。沢山取れたら格安で譲ってあげるのです。」
どうせ自分達で食べる分も料理してもらう事になる。
少しくらい譲った方が張り切って料理してくれるだろう。
「やたっ!じゃあ今日はラピッドラビットを使った美味しい料理を期待しておいてね。」
「それはやる気が出るのう。ライム殿、もっともっと狩ってやるのじゃ!」
やる気を出したナキナの言葉を肯定するかの様にライムがナキナの肩に飛び乗った。
このコンビであればラピッドラビット狩りを任せても余裕であろう。
「収納する必要があるからあんまり遠くに行っちゃ駄目なのですよ。」
「了解じゃ!」
早速獲物を見つけたのか直ぐに走り去っていく。
シキはさっき倒されたラピッドラビットを無限倉庫に収納する。
「私は予定通り花やハーブ集めでもいいの?」
「問題無いのです。ラピッドラビット狩りはあっちに任せるのです。」
シキとリュカでは特に手伝える事は無い。
当初の予定通り採取を別行動でしていた方が効率が良い。
「そうだね、じゃあ始めよっか。」
「お金になりそうな薬草の類いがあれば教えてあげるのです。報酬は半々なのです。」
シキの蓄えた知識には当然薬草の類いも含まれている。
ミハラ草原に生えている植物なら知り尽くしている。
「いいの!?思わぬ臨時収入チャンスじゃない!」
指示された通りに回収するだけで報酬を半分も貰えるとは随分と割りの良い仕事である。
「頑張ってくれたらお小遣い稼ぎになるのです。」
「シキ先生宜しくお願いします!」
「任せるのです。出発なのです!」
リュカの肩に乗って出発の合図を出す。
シキとしても指示出しをするだけで報酬の半分が貰えるので楽な仕事である。
思わぬ報酬にやる気を出したリュカは花やハーブに加えて薬草類も採取しまくった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます