第36話 窓辺さん

教室の窓辺で本を読む君を、《窓辺さん》と名付けた。僕と君は話したことがない。話す理由がない。ただ本が好きなことは共通していた。窓辺さんを観察する。すると駅前書店のブックカバーであることがわかった。僕もよく行くお店だ。共通点を見つけて僕は一人で嬉しくなった。何かが始まる予感の中で。

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