負けヒロインの幼馴染

猫又侍

#0.プロローグ

 人生は選択の連続だ。


 その選択一つで自分の進む未来が変わったり変わらなかったりするし、変わるとしてもほんの僅かな変化だったりもする。だから、そこまで重要な選択肢ではない場合は悩まず直感を信じて生きるのが俺の生き方だ。


 だが、人との出会いや付き合いというものは慎重に選択して来たつもりだ。ちなみに差別をしていた訳ではない。

 しかし俺も人間だ。苦手な奴との関わりは避けたりしたし、逆に関わりたいと思ったら積極的に関わって来た。


 どの選択も俺にとっての最善の選択を選んで来たかと聞かれれば、それはNOだ。人は誰でも失敗するし、そこから多くのことを学び成長して行く。


 ただ、それでも完全に失敗した選択肢というものも存在する。生まれながらに迫られた選択肢を俺自身が選択することは出来るはずもなく、最悪の選択肢を選んでしまった俺は現在進行形で最悪とも言える人生を歩んでいる。


 別に、いじめられている訳ではない。


 別に、不幸な人生だという訳ではない。


 別に、友人がいない訳ではない。


 ただ、それを全て否定してもたった一人の幼馴染の存在によってその悉くが普通又は最高から最悪へと転じてしまう。

 他人にとって、幼馴染は天使に見えるだろう。しかし、俺にとってはまさに悪魔と言える存在。


 それがこの俺、千島陽仁ちじまはるひとの幼馴染──逢崎楓あいざきかえでという少女だ。

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