捜索(エピソード主役:タニア)

翌朝、タリアが戻って来なかったことを確認した村人たちは、普段の仕事はそこそこにして、村中を分担して捜索した。

その結果、タリアは見つからなかったが、村外れの柵の近くでびりびりに破れたピンク色の給仕服が発見された。それは、普段タリアが着ている服であった。


その服が発見された場所は、村と外の森を仕切る柵の近くだった。

柵と森との間は伐採されて空間が出来ている。こうすることで森の獣や魔物は入って来づらくなると言われているのだが、絶対ではない。

服が破れているということは、タリアは獣か魔物に襲われたのだろうか。

しかしその割には、血痕は見当たらなかった。

すると、タリアは服を脱いで森に入っていったとでもいうのだろうか?


ともかく、危険な森の中を捜索するとなると、可能な人材が限られる。

適任は猟師か冒険者くらいのものだ。

しかしこの村を拠点としている冒険者たちは、出かけたままでまだ帰ってきていない。

タニア「あぁ、おねえちゃん…。早く帰ってきて…!」

ともかく、数人の猟師は森の中に入ってみることになった。


タリアも無事でいて…。

洗脳されていたときは殺したいと思っていた相手だったが、とっくにそんな気は失せている。

ちょっと前に喧嘩したときにタリアに向かって「あんたなんか消えちゃえ!」と言ってしまったことが思い出される。

あたしがあんなこと言ったのがいけなかったの?

謝るから、早く戻ってきて…。


タニアには祈ることしか出来なかった。

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