ON AIR~流れ始めた青春の唄~

みのるしろいし

流れ始めた青春の唄

【始業式】

校長(多和田兼役):えー、校長の坂井 正明です。

校長(多和田兼役):新学期を今年も迎えることができ、二百名の新入生を迎えました。

校長(多和田兼役):少子化が叫ばれる昨今ですが本校の入学者数は常に安定しています。

校長(多和田兼役):さて、今朝起きてウォーキングをしていたら・・・

西野:(モノローグ)長い、日本の校長の話は、長すぎる!!

西野:七十パーセントぐらいカットしてくれないだろうか・・・

西野:少子化の話を俺たちにされたってわからんやろ。

0:10分後

多和田:続きまして、本年度より着任しました先生方をご紹介いたします。

西野:(モノローグ)まあ、関わりないだろ。

多和田:以上で、始業式を終わります。


【廊下】

多和田:西野ー

西野:はいっ!?

多和田:俺今年から放送部副顧問入るからな。

西野:本当ですか!?

多和田:あぁ、それと、部活してた証明のために3年生の1年間だけ放送部に入ろうとするやつ多いから

多和田:俺の権限で入部しないように言っておいたから。

多和田:そういうの止めないと三年頑張ったお前が不憫(ふびん)だからな。

西野:ありがとうございます!多和田先生が顧問なら安心ですね。

西野:(モノローグ)余計なことを・・・この時期に同期が増えるって先輩からは聞いてたけど、

西野:(モノローグ)そう言う理由だったか。まあ、変な奴ら増えるよりは良いか。

多和田:大林先生が異動だから新しい先生が顧問になるぞ。

西野:あぁ。そうでしたね。

多和田:・・・お前、聞いてなかったか?

西野:あっ・・・

多和田:着任式で部活動の担当も言ってたよな?

西野:いやぁ・・・校長の話が長くて聞き流しちゃって(笑)

多和田:おい・・・頼むぞ部長。終わってから時間ある?

西野:有りますよ。

多和田:だと思った。顔合わせしよう。

西野:はーい。


【職員室】

多和田:南先生

南:はい!

多和田:あぁ、ごめん。今年から方針展開でさんづけにしないといけないんだった。

南:そうでしたね。

多和田:放送部の件で打ち合わせを

南:はい、よろしくお願いします。

多和田:まあ、と言ってもそこまで打ち合わせするようなことも無いんですけどね。

南:あら、活動は少ないんですか?

多和田:一応、昼休みの放送や体育祭・文化祭の進行がメインの活動になりますね。

南:なるほど。

多和田:で、これが部員のリストです。

南:ありがとうございま・・・・す?

多和田:どうしました?

南:1人?

多和田:主に活動しているのは西野だけです。

南:2年生は?

多和田:居ますが基本幽霊部員です。

南:3年生も幽霊部員ですか?

多和田:いいえ、単純に1人です。

南:1・2年の頃に誰かが退部したりは

多和田:入れ替わりもなくずっと1人ですね。

南:凄いですね・・・

多和田:そういえば、クラスでのアイツの様子どうでした?

南:放送部の担当だとは伝えましたが、特に変わった様子は無くて

南:おとなしいというか、興味を持ってくれていないのかもとか

多和田:まあ、アイツは割とそういうところがあるので。

多和田:でもね、3年間頑張ってきてくれたんでそこは学校としてもバックアップしてあげたいなと。

南:そうですね、盛り上げてくれると信じています。

【ドアが開く】

櫻井:失礼します。三年五組の櫻井です。南先生いらっしゃいますか。

南:はーい。

櫻井:放送部に入部したいので入部届を貰いに来ました。

南:そうなの?あー待ってね、

南:私も、今年からこの学校に転任してきて、まだ部活動の制度をよく知らなくて

櫻井:そうなんですね、私も今年から転入なんです。

南:あら、そうなの?1年間よろしくね。

櫻井:そういえば副顧問が生徒指導の多和田先生だったような。

櫻井:多和田先生は生徒指導担当ですし知ってるかもしれないですね。

南:そうね、聞いてみるわね。

南:多和田さーん。

多和田:どうした?

南:放送部の入部希望者です。三年五組の櫻井さん

多和田:あー、三年?何で今入ろうと思ったの?三年生は認めてない方針なんだ。

南:そうなんですか?

多和田:あぁ、今年はこの活動に三年しっかり注いだって奴がいてね・・・

多和田:毎年、部活動の経歴を作るために幽霊部員になろうとする奴らがいるんだよ。

櫻井:あぁ、すいません。私今年転校してきて・・・前の学校でも放送部だったので。

多和田:あぁ!それは申し訳ないことを言った。それなら問題ないな。

櫻井:いえ、私も事情をお話ししてなかったので。

多和田:丁度良かった。この後新体制の顔合わせあるからさ、放送室来れる?場所わかる?

櫻井:はい!地図は履修済みです。

南:(モノローグ)偉い・・・まだわかってないのに・・・


【放送室】

西野:(モノローグ)ついに部長か・・・誰が選んだわけでもない。三年生は私しか居ないのだから

西野:(モノローグ)一年の頃に先輩の姿を見て育って、二年はひたすら耐えて、ようやく三年。

西野:(モノローグ)思い描いてた高校生活とは違うけどこれもまた悪くない。とりあえず・・・掃除するか。


【ドアのノック】

西野:はーい


【鍵を開ける】

櫻井:はじめまして!新入部員の櫻井です。

西野:へっ?

櫻井:あれ?聴こえなかった?

西野:仮入部期間はまだのはずですが・・・

櫻井:あれ?・・・もしかして一年だと思ってる?

西野:ええ・・・新学期ですからね。

櫻井:そっか!まあ・・・ある意味新入生なんだけどね(笑)

西野:ある意味・・・?

櫻井:ていうか、西野君・・・だよね?同じクラスだよね?

西野:へっ!?

櫻井:ホームルームの時に自己紹介したじゃん。

西野:・・・あぁ!あの時ですか!?

櫻井:もしかして・・・寝てた?

西野:校長先生の話が長くて、あんなに長い必要がどこにあるのかをずっと考えてました・・・

櫻井:確かに長かったけどボーッとしすぎ

西野:すいません。

櫻井:というか、同級生だからそんなにかしこまらなくて良いよ

西野:同級生とあまり喋り慣れてなくて。

櫻井:そっか、二年間ずっと放送部で多分・・・一人だったんだよね?

西野:その通り。学年で唯一の放送部員でした。

櫻井:でした?

西野:えっ。入ってくれるんですよね?

櫻井:いやあ・・・なんか、私が入ることで西野君のペースが崩れたりとかしないかなって。

西野:そんなことないですよ。

櫻井:じゃあ、問題ないね♪

西野:よろしくお願いします。櫻井さん。

櫻井:うーん、なんか固いなぁ。

西野:喋り慣れてないからなぁ・・・

櫻井:放送部・・・だよね(笑)?

西野:フフッ

櫻井:あ、笑った。

西野:えっ?

櫻井:あれ?照れてる?もしかして、女の子と2人で喋ることが無いんだー?

西野:うっさい!照れてないよっ

櫻井:フフフッ、良いよ。その感じ。


【ノック音】

西野:あ、多和田先生。

多和田:おう、揃ってるか?

西野:はい。

多和田:んじゃあ、今年の放送部は・・・とりあえずこの4人か?

西野:いえ、二年生の幽霊部員が五、六名居ます。

多和田:まあ、アイツらそろそろ退部勧告するわ。

多和田:とりあえず自己紹介からかな。

南:はい、今年から顧問になります。南です。

南:放送部の担当って初めてで、何もわからないから基本は部長にお任せするわ。

南:部員だけでどうにもならないこととかあったら協力するわね。

多和田:副顧問の多和田です。生徒指導も兼任しています。

多和田:放送部の存在は知ってたが関わるのは初めてだから、基本は西野に任せる

西野:(モノローグ)俺にのしかかる荷が・・・

櫻井:新入部員の櫻井凜です。北海道から転入してきました。

櫻井:前の高校でも放送部をやってました。でも、この放送部は西野君が作り上げてきたものなので基本は任せます。

西野:(モノローグ)櫻井さんまで・・・

西野:部長の西野です。去年が正直地獄だったので今年は落ち着いていろんな新しいことが出来ればなと思っています。

櫻井:去年がどうだったのやら・・・

多和田:まあ、正直キツかっただろうな。あの先輩あって後輩だと。

南:西野君がまたこれから作れば良いのよ。新しい放送部を。

櫻井:そうだよ!私も一緒に頑張るからさ。

西野:はいっ!よろしくお願いします!

西野:(モノローグ)耐雪梅花麗ゆきにたえてばいかうるわし

西野:(モノローグ)最後の一年、放送部を存続させるためにも、

西野:(モノローグ)僕の高校生活を良くするためにも部長として頑張らなくては。

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