第2話 呼び起こされる本能

俺の体をよく見ると、爪が鋭く伸びており、口には鋭い牙。足には包帯が巻いてあり、背中には羽のようなものが生えている。そして、めちゃくちゃ遠くまで目が見えるようになった。


「これからは杖と呼ばせてもらおう。それより、話してもらおうか、何で俺の体がこんなのになったのかを。」


俺は慎重だ。こういう時に焦れば、後ほど何も分からなくなる。

俺は、鋭い目つきで枝を睨んだ。


「そ、それは」


とっとと話してくれないかな?じゃないと、ボキボキに折るよ、お前を。

そんな俺のヤバそうな感じを察した杖は、仕方なく話し始めた。


「は!?そんなの初心者がするもんじゃないだろ」


「だから言いたくなかったんだよ」


えっと、話はこうだ。転生する前に刺された時、俺はヤバかったらしい。

そのため、大規模な手術をしたらしい。

でも初心者だったので、こんなんになったみたいだ。もっとプロの人も呼べたらしいけど、通話料がかかるからやめたらしい。

ふーん、そうなんだー。


っじゃなくて、そんなんどうでもいいから呼べよ。通話料ぐらい俺が払うから。


「通話料って何円なんだよ」


「円とは何だ?それはいいとして、必要なのは転生エネルギーと言って、滅多にないやつなんだよ」


へぇ、てか俺以外にも人がいるのかな、そう思っていると、ヤツが答えてくれた。

そのブロっていう人は、人って言うより刀らしい。そんなヤツが手術できんのかよ。俺は突っ込みたくなった。

それよりも、何でこんな外観になったのか聞きたい。

聞いてみたら、実はこの世界はいろんな奴らが住んでいたらしい。

だがある日、この世界の神?の命令でこの杖が作られ、そいつらを全滅させていたらしい。

そんな時にたまたま俺がいて、手術をしたときにそいつらの骨や遺伝子などが混ざり、こんな姿になってしまったみたいだ。

奴らってのは誰か知らないけど、結構いろんな奴がいたんだな。

てか、そんなことはどうでもいいんだ。この体を俺はうまく使うことができんのかな。試しに歩いてみる。

まあ、違和感はあるものの、普通に歩けそうだ。だがしかし、それとは別の問題がある。歯が溶け出している。どういうことだ?

とりあえずヤツに聞いてみた。

すると、すごいことに気づいた。俺の体の一部がヴァンパイアになっているらしい。そしてこの歯はそのヴァンパイアの一部なのだと。それで日光に弱いヴァンパイアの部分が溶けているらしい。

てか、ヴァンパイアっていうと、血を吸うイメージだけど、それもできるのか?


「できるよ、あんまお勧めしないけど」


一応できるらしい。それは置いといて、他の体の部分にいて聞いてみた。


鋭い爪は狼男の一部。満月が登ると狼男、そして灰狼と変身できるらしい。


鋭い牙はヴァンパイアの一部。血を吸うと、肉体強化できるらしい。でも、条件があるらしい。


足の包帯はミイラの一部。包帯を自由に操ることができるらしい。


目がいいのは、ダチョウの一部。1kmまでしっかりと肉眼で見ることができる。


羽は、知らん。飛べる。ただそれだけ。


そんな感じだ。これ、正直あんまりいらなくね?今はそう思っていた。


そしてこっちに来て1週間ぐらいがたった。満月が昇るらしいので、狼男の能力を試してみることにした。


これはすごいな。マジで狼男になった。

そして、灰狼にもなってみた。すると、俺の体が灰になって崩れてしまった。


・・・ように見えた。コイツの能力は、灰みたいに消えることができるみたいだ。すごいな、これ、戦闘では使えそうだぞ。


意外とこの世界にも慣れてきた。ただ飯がないのがだるい。

動く気力がなくなる。

ヴァンパイアで自分の血を吸って何とかしている感じだ。

自分の血だと肉体強化はできないみたいだ。


「なんかぼっちって寂しいな。向こうから誰か連れてきたいわ。」


そう呟くと、


「元いた世界から何かを召喚することはできるぞ。」


杖がそう答えた。



















これから、2〜4日のペースで投稿していきます!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る