第16話
シャルルへと高い昼食を奢った僕はそのまま彼女を自宅の方へと招いていた。
「こ、これが家……?」
「単語的には家よりも屋敷の方がしっくりくるかな?」
栄華を誇るフォーエンス家に相応しき豪華な屋敷に圧倒されるシャルルへと僕は軽い口調で言葉を告げる。
「なんで……私をこんな、ところに」
「ただの偽善だよ。僕がやろうと思えばより多くの人を救える。誰かを救うのに全力を尽くせば多くの人間が幸せになれる。でも、僕はそうしない……それでも自分が関わりを持った者は見捨ているのは己が心が痛む。自分のために行うただの自己満だから気にしなくて良いよ」
シャルルの血筋はとんでもないものがあるが……だが、それはあまりにも遠すぎる血縁関係なのだ。
既にその血族は落ちぶれているし、歴史も残っていない。
たまたまシャルルが先祖返りで強大な才能を有しているだけなのだ。
彼女を魔王と戦うための戦力にするにはしっかりとした教育で持って彼女の才能を磨いて輝かせなければならない。
「まぁ、気まぐれな神様にでも助けられたと思ってよ」
「……かみ、さま」
「そうそう。シャルルは自分の家とか家族とかっている?」
「……いない、です」
「そうか。よし、じゃあ今日から僕が君の家族ね」
「ぴぇッ!?」
「君のための服と君のための部屋を用意するからちょっと待ってて」
「はひぃ」
僕はシャルルが頷いたのを見て傍から彼女とのやり取りを見ていたこの屋敷の執事の方に近づく。
「……婚約でもなさるつもりですか?」
そんな僕に対して執事が実に見当外れなは疑問を投げかけてくる。
「ん?何を言っているの?妹と結婚する人がいる?」
「えっ、あぁ。なるほど。そういうことでしたか。それではそのように対応させていただきます」
僕の言葉を聞いて執事が頷く……さっきの質問は一体なんだったんだ?
まぁ、良いか。
「決してぞんざいに扱わないようにね」
「承知いたしました」
僕の言葉に執事が頷く。
主人公が見えぬ今、彼の代わりとなれる可能性が一番高いのはシャルルだ。
彼女をどこまで僕が仕上げることができるか……このまま主人公が出てこなかった場合、かなりここが重要になってくる。
クソ、常に責任重大だな。僕。
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