第三章
第1話
フォーエンス家が誇る白い宮殿の一角に差し込む暖かな陽の光。
「……アレス?」
陽の光に包まれている天蓋付きのベッドに体を横たわらせている女性が口を開く。
「うん、アレスだよ」
僕の記憶の中よりも少しだけ痩せこけたお母様の言葉に頷く。
「……ふふっ。久しぶりに見たわぁ。幻覚かしら?」
「幻覚なんかじゃないよ……お母様。この薬を飲んで」
「あらあら。私に薬を?……アレスからのとなったら飲まないわけにはいかないわね」
お母様は僕の言葉に笑みを浮かべて頷き、僕にされるがまま口に流し込まえる薬を全て飲み干す。
「アレスーッ!?アレスーッ!?」
僕がせっせと作って完成させた薬をお母様に飲ませた僕は入れ物としていた試験管を異空間収納を使って仕舞い、この部屋にまで届いてくるお姉ちゃんの言葉へと耳を傾ける。
「……ぁあ、テレアの声が聞こえるわ」
「そろそろ僕もお姉ちゃんの方に戻らないと、暴走しちゃうからこの辺りで。また後でね」
婚約者もおらず、ずっと僕の捜索班に加わっていた事もあってまともに学園にすら行ってないので一切の出会いがなく、未だ未婚。
弟としてちょっと心配になってしまうお姉ちゃんの方へと僕は転移で向かった。
ちなみに貴族は現代日本よりも早く結婚して、早く子供を産む。
17歳頃に結婚して子供を為し、18歳頃に出産。ペースとしてはこんな感じ。
卒業が18歳になってからである学園の方で女の子は子育てについての授業やら出産・子育てのサポートやら、様々な支援の元で子供を産み育てていく。
……16歳になっても婚約者もいないうちのお姉ちゃんは一体どうするのだろうか?
僕のせい感あるけど、僕は心配である。
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