第2話
キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン。音が鳴る。それすらも青春に感じるお年頃だ。俺と彼女が通っている学校は東京都文京区にある偏差値が高く、しかも、大学附属の中高一貫ときたところだ。だが俺は不満だ。勉強がつまらなさすぎる。いくら授業中に寝ていても学年一位をとれてしまう。なんか非日常なこと起こらないかな。そう思っていたら、担任が
「HRの前に転校生が来たので、紹介します。」
と言い、入り口から転校生が入ってきた。
「は!?」「やべえ!超タイプ!」「嫁入りしたい!」などバカなやつらがまた騒ぎよるわい。俺はまったく気にはしなかった。しかし、その転校生は驚くほど完璧すぎた。綺麗なブロンドヘア。目はぱっちり。鼻立ちはくっきりしておりながら、口元は艶めいている。
「ドイツから来たので仲良くしてあげてくださいね。」
すると、彼女は
「Mein Name ist Akatsuki Adelheit Hana. Danke.(訳:私の名前は、暁・アーデルハイト・華です。よろしくお願いします。)」
自己紹介をし始めた。しかもドイツ語で。これには担任も予想外だったのか、
「日本語話せるかな...?話せるなら日本語で話してね...?ここ日本だから。」
あーあー、そんなこと言うなよ。今の時代、ジェンダーレスとかダイバーシティ(多様性)とかあるじゃん。怒られるよ?と思いながら聞いていたが、
「Ich verstehe Japanisch, kann es aber nicht sprechen. Verzeihung.(訳:日本語は分かりますが話せません。すみません。)」
ん?どういうことだ?落ち着け。早まるな。言い訳はもう少し考えてから言おうか。日本語が理解できているのに、日本語が話せない?そんなわけ。
「Warum das? Ich war noch nie gut in Japanisch.(訳:なぜかそうなんです。私は昔から日本語が得意じゃなくて。)」
「そうなのか?」俺がすかさず言った。待て。よく考えたら、何で俺もドイツ語話せなくて理解ができてんだ?もう考えるのをやめよう。時間の無駄だ。俺は思考を止めた、と思ったら急に話しかけられた。俺コミュ障だからやめてよ。
「Kannst du Deutsch verstehen?(訳:あなたドイツ語理解できるの?)」たしかにそう言われた。すべての始まりはここからだ。
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