【完結】可愛過ぎる後輩が、義理の妹になった途端めちゃめちゃグイグイ迫ってくる話

空豆 空(そらまめくう)

第1話 突然義理の妹が出来た


「彼氏なんていらないけど、えっちしよ? ……でも私、一生妹だから大切にしてね?」


 突然できた義理の妹に、突然そんな事を言われた。しかも俺の部屋の中で、俺のベッドの上で。


 なに? どゆこと? 思考が停止しそうだ。


 そんな事を言ってきた義理の妹は、元々は俺のバイト先に入ってきた新人だった。


 高校二年生。名前は紗織さおり。入社当時の苗字は望月もちづきだった。今は親が再婚したから、俺と同じ長谷川はせがわになったのだけど。


 紗織の第一印象は、“モテるんだろうな” だった。なぜって……


『新しく入った子、めっちゃ可愛くない?』

『すげータイプ』

『あんな子が彼女だったらいいな』


 バイト先の男連中が、揃いも揃ってざわめき立つほど、そのルックスの可愛さがとにかく際立っていたからだ。


 黒髪のショートボブに、くりくりっとした大きな瞳、ハツラツとした元気そうな見た目、少し小柄な華奢な体型。それでいて、


『はじめまして。望月紗織と申します。精一杯頑張りますので、これからよろしくお願いします!』


礼儀正しく真面目そうな挨拶と、最高の笑顔。


 確かに可愛いな……俺もその時そう思った。


 そんな紗織の教育係になったのが、バイト歴の長い俺だった。


 だから仕事の事をあれこれ教えてたんだけど……


 紗織がバイトにも慣れて、すっかりレギュラーメンバーになった頃、父の再婚相手の子として連れて来られたのが、まさかの紗織だった。




——顔合わせ初日


「え!? マジ??」


 再婚相手の子どもがまさかの紗織だった事に驚いて、それ以上何も言えないでいる俺に、紗織はイタズラな笑顔を浮かべて


「長谷川先輩がお兄ちゃんになっちゃいましたねー。今日からよろしくお願いします、拓真お兄ーちゃんっ」


臆することなく弾んだ声で言った。


 え、びっくりとか、いやだとかないの?? 今日から一緒に住むとか、急すぎない??


 戸惑っているのはまるで俺だけで。


 顔合わせのファミレスの中で、紗織は終始、見た事ないくらいにこにこと嬉しそうな笑顔だった。



 父も父だ。紗織の母親と交際しているなら、もっと早く言ってくれてもよかったのに……。



 父は俺のバイト先の店長をしている。いわゆるフランチャイズ店のオーナー兼店長。そしてそれを手伝わされているのが俺。


 だから、紗織と父は顔見知りだった事になる。


 こんな偶然ある?? 意味分からないんだけど。


 まあ、母に先立たれてからずっと、男手ひとつで俺を育ててくれた優しい父には、いい加減幸せになって欲しかったから、再婚は喜ばしい事なんだけど……


 そんな再婚相手の彩奈あやなさんも、優しそうでいい人そうだから不安はないのだけど……


 問題は、紗織と今日から一つ屋根の下で一緒に暮らすと言うこと。


 ……俺、密かに紗織の事好きなんだけどな。

 けれどあんなにモテる紗織と付き合えるはずがない。


 だから、今の仲のいい関係を壊したくない。


 その時は確かにそう思っていたんだ。


 まさかその日の夜、紗織に『襲って』と言われるなんて、思いもせずに……

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