第9話 レベリング

1つのパーティーの戦闘データをとり始めて3か月が経った。なぜこんなに期間が経ったかというと週に1、多くても2度しかダンジョンに潜らないためそんなに変わったことがなかったためだ。


その間、俺はカメラのテストをしている会社から探索者用の装備を販売している会社を紹介してもらい、高級装備を大人買いしたところだ。


お店としては俺が購入とメンテナンスに出すだけで支店をおいてもおつりがくるということで日本に支店を出店してくれた。


そのため、オークダンジョンには過剰な装備を持ち込んだ【ドッペルゲンガー】たちがパーティーで潜っている。戦闘データはカメラの提供先にも送られているため、たまにアドバイスまでメールで送られてくる。


そんな日々を送っていたのでパーティー戦闘に関する知識もついてきた所で、面倒に巻き込まれそうになっているところだ。


「春樹君。どうにか例のパーティーの攻略速度を早める方法はないだろうか?」


ギルドマスターが必死に頭を下げてくる。戦闘指南を行う代わりに探索者協会から金銭を貰っていたのだが、上から金銭をかけている割には魔石の納品数が上がっていないということを指摘されたらしい。


ギルドマスターは副業では攻略するのに限界があるということを説明してはいるのだが、上は結果を出せとだけせっついているらしい。


そこで俺に、攻略速度を何とか早めることができないかの相談をしに来たというわけだ。


ここで俺は、そんなものないと一言行ってお帰り願えばよかったのだが微妙な反応をしてしまった。


ここぞとばかりにその表情を読み取ったギルドマスターがどけ座でお願いしているのが今の状況だ。


ここで俺は条件を出すことにした。


「副業ではなく、専業で探索者になる気があり探索者ギルドが責任を持つというのであれば数人程度であればパワーレベリングのようなことができます」


ギルドマスターは詳細な情報を聞くためなのかメモの準備を始めた。


俺は溜息を吐き、説明を始める。


「俺が管理しているスライムダンジョンでスライムのポップを一定範囲に抑えることが可能です。そこでスライム狩りをやってもらいステータスの上昇を目指してもらいます。ステータスをALL5にするくらいなら1月あれば大丈夫かと思いますよ」


ちなみにステータスALL5であればゴブリンの群れをステータスの暴力でなんとでもできる程度だ。流石にそれ以上はスライムだけだと時間がかかりすぎる。俺の場合はスライムを上回る【ドッペルゲンガー】の数で圧倒し経験値を稼いでいるだけだ。


ギルドマスターは表情がかなりほころんでいた。


「君への給金も含めて上と相談させてくれ」


というと俺の家から駆け足で出ていった。

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