第52話 鎮魂者
鎮魂者
鎮魂者、魂を鎮める者 それは現世から送られてくる悪行が先行し命を失う者達の魂を鎮めると言う意味を差す。
その方法は2つあるが、死ぬ可能性が高い魂をどうにか生き残る確率を高くするのが、一番の道筋だ。
早い話が手助けするか見放すという決定を下す定めにある者をいう。
そして彼女は失っていく魂を手助けすると言う、そんな生き方をクエストクリア後も望んだのだ。
「現世で家族が待っているのでは?」
「そうかもしれません、私には勇気が無いのです、特に戦う勇気が」
「そうなんだ、現世よりこちらの世界の方が生きやすいと思ったんだね」
「この世界では私のような者でも必要としてくれます」
「元の世界では居場所が無かったと言う所か…そういえば秋元君が探していたよ」
「秋元君?」
「秋本有希、従妹なんでしょ」
「なんで?その名を」
「俺は秋元君と同級生なんだよね」
「そう彼女…いやまだ彼なのかな」
「どっちでも良いみたいだよ」
そう言うとびっくりしたような顔をする、秋元君と彼女の間に何が有ったのかは分からないが。
「私は実は有希とは真逆の存在なのです」
「そうなんだ、なんとなくわかる気がする」
似た者同士、性別は違っても同じような感覚を持ち同じような障害、いや生き方をするであろう者同士。
だから秋元君は彼女が行方不明のまま見つからないのは異世界で生活して行く方が良いと感じたからなのではと思ったのだ。
そして彼もまたこの世界へ来ることを望んだのかもしれない、現世での生活は2人にとって苦痛なのかもしれない。
そんなことを話しながら歩いて行くといつの間にか山脈のふもとへと出て来た。
「なんだよ、こっちへ進めば出られたのかよ…」
「もしかして方向音痴?」
「うるせーよ、まだ免許持ってねーし」
「いや 免許取らない方が良いかもしれねーぞ」
方向音痴は地図見ても無駄だと言う話を聞いた事が有る、覚えられないのではなく地形や道を立体的に処理できるように頭脳が反応してくれないと言う。
そういう人はカーナビで何とかなると言うが、カーナビも100%道をトレースしておらず、もし道を1回でも間違えば変な道へと迷い込み、その挙句よそ見をして事故を起こすと言う結果が待っていたりする。
外へと出るとそこには公爵と衛兵が邪教徒達を待ち構えていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます