第25話
そのホテルの一室は思った程には汚れていなかった。
想像したほど悪い環境でもなく、寧ろ丁寧に整理されているように思えた。
私は持って来たスーツケースから着替えを取り出し、狭いシャワールームに入った。
シャワールームの湯は熱くなく、最高の温度にしても丁度いい具合だ。
つまり、故障前、ってことかい。
体を拭いて、あの時の、昔のスーツに身を包んで、ガンベルトを肩からぶら下げて胸に締めてみた。
心地良い、なんてものじゃない。
この新世界と呼ばれてる未来の世界に来ても、結局はあの時と同じ事をやらされているんだ。
しかし、うんざりしている場合でないことくらいは分かっている。
既に仕事は始まっているんだ。
簡単なことさ、仕事を始める、それはイコール命を狙われ始めた、っていうことなんだから。
今度は締めていたガンベルトは外して、ベッドに横になった。
流石に疲れたよ。
少し休もう。
ネイサンがせっかく用意してくれた安全な場所だからね。
ネイサンを信じよう。
但し、今だけだ。
いや、その今も、安心している訳にはいかない。
私は警戒しながらも目を閉じた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます