思い出語り、今語り
さわきゆい
物語と私
物語を書き始めたのは、自分の記憶では小学3年生の時。
ただ、母に言わせれば、ひらがなを書けるようになるとすぐ、
「スズメがどうのこうのするお話を書いていた」
というから、物心ついた頃から『書く』ことが好きだったのだと思う。いや、それ以前にかなり空想好きというか、妄想の好きな子供だった。
物静かとか内向的とか言えば聞こえはいいが、要するにコミュ症気味で、人の目や評価が気になって仕方ない子供(だいぶ改善はしているが、今でもその傾向は強い)。
布団に入ってから、私の理想の女の子(明るくて、容姿端麗、運動神経抜群、リーダーシップがあって、友達たくさん、みんなに頼りにされてる)が友人たちと冒険やバトルを繰り広げる世界を思い描き、ニヤニヤしながら眠りにつくのが習慣だった。
この世界、自分の頭の中だけに留めておくことが出来ずに書き始めた。
文章にすることによって、世界を具現化できる気がしたのかもしれない。
幾分、現実逃避の意味もあったのだろう。リアルの私は、仲のいい友人が休みの日は、学校で一言も発せずに過ごすような子供であり、理想の主人公とはほど遠かったのだ。
物語は、B5のノートにビッシリ書き詰めた。ローマ字で。
なんでローマ字だったかというと、誰にも読まれたくなかったから。ローマ字なら親も読めないと思っていた(笑)
まあ、今見返してみても、綺麗とは言えないアルファベットが、句読点もなく羅列されているノート、読もうという気すら起きないのは確かだ。
年齢が進むにつれ、空想世界の住人たちは増えていった。それぞれの物語。それぞれの世界。
ただし、物語の書き手として私の決定的な欠陥は、その物語が完結しないことだ。作品として、仕上がらない。
それでも、そもそも「読まれたくない」物語を書いているのだから、問題はなかった。
シンドイ時に、逃げ込める世界があるのは有難い。それだけでよかった。
社会人になってからも、私の中の物語の世界は変わらず続いていた。
通勤電車が遺跡調査に向かう作業員でいっぱいの輸送列車になったり、職場の建物が隠し通路満載の宮殿になってたりした(もちろん、これも誰にも言ったことない。口に出してたら相当危ないヤツである)。
それでも、学生時代のようにノートを隠し持って仕事中に物語を書いているわけにはいかない。そもそも仕事である以上、仕事中はそこに集中しなくてはならないし、他のことを考えていられるような余裕はない。
常に新しい知識を吸収しなければ付いて行けない環境でもあり、現実逃避している場合ではなかった。
人間関係に恵まれ、リアルで遊びに行ったりできる友人が増えたことも影響したと思う。
気がつけば、書かなくなっていた。
そして、かなり長い間、書こうとも思わない日々が続いていたのである。
そんな風に、いつの間にか書かなくなっていたのに、もう一度書き始めるときは突然だった。
「書かなきゃ」という気持ちに突き動かされ、小説投稿サイトに登録した。
使ってみると、ノートに書くより、ずっと便利。楽。(当たり前だけど)
訂正、エピソード挿入、入れ替えなど、すぐにできる。
ノートに線を引っ張ったり、破り捨てるストレスから解放されると、書き続ける気持ちも持続する。
そして「読まれたくない物語」を書いているはずだった私の気持ちに訪れた変化。
もしかしたら、誰か、読んでくれる……?
リアルで知ってる人に読まれるより、顔も名前も知らない人に呼んでもらう方が、ハードル下がるんですね。私だけかもしれませんが。
メッチャ書くの遅いんですが、もう3年半くらい連載続けてます。(別サイトですが)
目標は、1日1行でもいいから書き続けること。
この目標、今のところ守り続けている。
そして、人の目に触れる場所に出したからには完結させること。
仕上がらない物語を書き続けていた私が今、目指していることである。
さて、ここにこれを書いたのも自分にプレッシャーかけておくため。
目指せ完結!何年先になるか分からないけれど!
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