第14話 蛇だったらどうしよう

ころころ3つの卵と一羽は、美しくなる泉を目指して旅をしていた


しばらく一緒にいると、あひるが疲れたと言い出した

ピヨは疲れるというのが分からず、先を急ごうと言った

ルヴナンがピヨを制して、どこかで休もうと言った


「お昼寝がしたい、お母さんがいたらお昼寝している時間なんだ」


あひるが地団太を踏んでジタバタした

ピヨは寝るというのが分からなかった

伝えると、相変わらずレアールが、寝たことがないの?と嗤って言った

少し卵を膨らませて怒るピヨだったが

ルヴナンが草むらに寝そべって休もうと言ったので、喧嘩はしない事にした


草むらに寝っ転がった

3つと一羽で日向ぼっこをする


ピヨは意識がぼんやりしてきて……

ピヨはぽかぽか陽気の中眠ってしまった

それが初めての夢を見た時だった


ピヨは恐ろしい夢を見た。

夢で出てきたのは長くとぐろを巻く黒い影の気配だった。


影はピヨを飲み込んだ。あっけなく、するりとピヨは飲み込まれた

喰われた後に、蛇の腹から卵として生まれてしまう

ピヨはもうピヨじゃない。お母さんの子でもない。ピヨは喰われて蛇の子になってしまったのだ

黒い影の卵になってしまったピヨ。蛇の子のピヨ。ピヨはもう……


ハッとなってピヨは意識が戻った

ピヨは自身が影の卵になっていないことを感覚で理解しホッとする

今あったことが現実でない事と、まだ残る緊張にドキマギしていた


みんなが起きだし、そして互いに夢の話題になった

ピヨは今見たリアルな影の物語が、夢と言うものであることを知った

ルヴナンは美しい白鳥になる夢を見、レアールは家族と再会した夢を

あひるは母親が泉で待っていてくれた夢を

互いに幸せな夢を見たことに、喜び、泣いた

ピヨだけが夢の内容を言えなかった


他の三匹からピヨの夢の話題が振られると、ピヨは戸惑った


ピヨは自分が鶏の子だと思っていた

でももしたら蛇かもしれないという恐怖に怯えていた

それくらい影から生まれるときの夢がリアルだったからだ

ずるりと影から出てくる感覚、影の卵になってしまう恐ろしさ

夢と醒めた後、何が違うのかピヨには分からなかった


「夢って本当になったりしない?」


不安を2つの卵とあひるに伝えるピヨ

自分が黒い影の卵になったのではないかと言った


「そんなことないよ、白くて可愛いたまごだよ」


あひるがピヨに伝える

ピヨは驚いた

自分に色があったことに驚いた

きっと卵が割れた瞬間に、世界に色がつくと思っていたからだ

この時、ピヨは初めて自分が白い卵であることを知ったのだった

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