第26話 持てる力をもって②

 岸に引き上げられたピヨは、せき込みながら涙を我慢していた。

 そんなピヨに、ルヴナンが目線を合わせて語り掛けた。

「ピヨ、無理をして勇敢になろうなんて思わなくていい。君は自然と力を出せば、ちゃんとついてくるんだからね。今はゆっくり考えることに力を出してみて」

 ピヨは草のロープを握りしめて、うんうんと考えてみた。

 ロープと川を交互に見て、ピンと来たようにルヴナンの方を見る。

「ルヴナンは対岸に泳いで行ける?」

「僕は行けそうだ。卵を持ってくる力はないけどね」

「じゃ、じゃあ……!」

 ピヨはルヴナンにこう提案した。

「今いる岸と対岸に二点でロープを斜めに張って、たまごは斜め下の方へ流させてみよう」

 ルヴナンは承知し、ロープの先をもって焦らずゆったりと泳いで対岸に渡る。

 すこし上流に行ったルヴナンを見送ると、ピヨはもう一つのロープの先をもって、ピンと張った。たまごが引っかかると、ピヨの岸の方のロープの斜め下に向かって卵が転がるように流れてきた。

「わわっ!」

 たまごの重さにピヨは驚くが、ゆっくりと岸に引き上げた。

 成功したことをルヴナンに伝えるために、手を振って元気さを伝える。

 ルヴナンが対岸から帰ってくるのを待つ間、ピヨはたまごに触ってみた。

「ねえ、君は大丈夫? ひぁ!」

 ピヨが驚いたのは無理もない。

 たまごは、驚くほど冷たかったのだった――!

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