継ぐもの女神

秋風のシャー

第1話 七神の泉

この世界には神話や伝承などが沢山存在している。


今も世界のどこかで何千、何万という物語が語られているに違いない。



遠山 伊織音とおやまいおりおは今11年前のことを思い出していた。まさか、こんなことになるなんて・・・・


2040年の春


僕が3歳だった頃だ。まだ、幼かったは毎晩母さんと一緒に寝ていた。母さんはよく、僕に本を読んで聞かせてくれていた。


「母さん本読んで」


「はい、はい、今日は大好きな七神の泉にしよっか」


「うん、呼んで、呼んで」


「はい、はい、昔、昔ある所にそれそれは綺麗な泉がありました。その泉は七色に輝いており、七神の泉と呼ばれそこら一帯にはドワーフやエルフそこにしかいない希少種まで豊かな生態系が築かれ、外と独立した世界となっていました。彼らは時に敵対することはあるものの交流なども盛んに行っていました。しかし、ある時それは一転します。ドワーフの村で宝の地図が見つかったのです。」


読み語りをしてくれるお母さんの読み方は流暢で一気に情景が脳裏に映る。


 「何だこれは」


ある日、鉱物を採掘するために坑道の中で仕事をしていたドワーフは何やら金色に光る巻物を見つけた。ドワーフは突然の出来事に驚きの表情をし、きっとこれはすごいお宝の在り処を指しているに違いないと思い、急いでそのことを長老のミネルバに告げに行きます。


「これを見て下さい。東の門の近くの坑道で見つかったのです。」


「これは? ウーン」


ミネルバは地図を左右上下反転させ、暫くじっくり眺め、不意に何か思いったように目を見開くと手を叩いた。


「オー、この文字はもしやナムサムル語か? 見覚えがある。確か、2000年前に使われた文字だとかをワシが若い頃一緒に冒険をしていたクルトが言っておったわ、確かアヤツは今、クムルクルト族の長をしていた筈、よし今すぐ東を統治しているクムルクルト族の屋敷に使者を使わせよ。」


そう言われ、地図を発見したドワーフは息子のドンにその任を任せることにした。ドンはお調子者であったが、足なら村一番で知られていた。

「 ゴン、お前に重要な任務を託す。クルムクルトの館に行き、宝の地図のヒントを聞こだし来るのだ!」


「はい、行ってきます」

元気いっぱいに返事をすると、ゴンは七色に輝く泉に沿う岩を悠々と駆け抜け、東へ東へと走しり出す。


しかし、途中で知り合いのエルフ、クルフに会いゴンは久しぶりにあった喜びからクルフに全てを話したのです。


「ドワーフの村で地図が見つかったんだ。・・・」


クルフは興味心身でゴンの話を聞き、


「ちょっと見せてくれ」


と言い少しばかし考えを巡らせたかと思うと顔をしかめながら


「あははー分かんねーや、ちょとエルフの長に聞いてみるや」


といい一目散に行ってしまいました。


ゴンは口笛を吹き森の生き物と遊びながらクルフの戻りを待っていると一輪の花を見かけました。そうだ、母ちゃんの為に持ってかえるか、そう思うとゴンは、茎の根っこの辺りを掴み引っ張ろうとします。


すると遠くから声がしてきます。


「ゴン君だめだ!」


そう言われた頃には時、既に遅くゴンがその花を掴んでしまっています。すると急に肥大し、ゴンを丸呑みにしてしまったのです。 


「助けてください」


そうクルフが隣の方に言うまでもなく、クルフの隣にいた方は、物凄い速さでゴンの元に近づき片手剣で正確無比な攻撃を繰り出し救ってみせます。


「ファー、臭い」


ベドべドになったゴンに彼は


「いまのは、パストリモスと呼ばれる花だよ。なんでも飲み込もうとするんだ。」


「ありがとう、 助かった、やっぱすごいや!」


ゴンの尊敬の眼差しの前に立ってあたのエルフの長でした。


「やぁゴン君、お父上は元気にしているかい。」

 

「あぁもううるさすぎるくらいに」


ゴンの父ととエルフの長は昔からの友人で今も親交があり、ゴンとも顔見知りでした。


「ゴンくん早速だけど、その地図にはエルフの矢キリグズの矢が描かれているね、もしかしたらエルフにも重要なものかもしれない。だからクルフも連れて行って貰えるかな?」


「ウ~ン」

としばらく仏頂面で考えていましたが

まぁいいかと思い


「まぁ何も言われてないしいいよ」


と言い、2人でクムルクルト族に会いに行くこととなったのです。

 

彼らは森を抜け猛スピードで駆け抜けます。

「よし、ゴン競争だ」そう言うとクルフは持ち前の瞬発力を活かして木の枝から枝を華麗に飛んでいくのです。


「あ、汚ねぇ 待てぇ」


そう遊びながら彼らは向かっているといつの間にか東の門の前に着いていました。ゴンが門番に


「クルムクルトの長にお話をしにきました」

と不器用な敬語でいうと門番が鐘を鳴らし

ました。


「入れ」

言われ付いていくとそこには木と瓦ででできた立派なお屋敷がありました。


2階の奥の部屋に案内されるとそこには白い白髪に立派な髭を蓄えたクルムクルト族の長と思わしき方が座っています。


実はーーーー

ゴンが話し始めると

「それは、ナムサムル語で間違えない」

ゴンが話すよりも先に言い当てました。

ゴンが驚いた表情をしたのもつかの間、彼は直ぐ話し始めます。


「驚いた表情じゃな、クルムクルト族の一部には相手を見ると思考の一部を読み取れるのじゃよ。で、それじゃが泉の中心にある祠に上弦の月の日 7つの聖遺物を備えよ、さすれば汝らに山にも勝る富が渡るであろうと書いてあるな。」


「7つも?」


「そうじゃ、一つは北村を統治するドワーフの持っているドワーフの首飾り、2つは北東の方角を統治するエルフの持つキリグズの矢、3つ目は東を統治する我らクルムクルト族のクルストリフィと呼ばれる帽子じゃ。


そして、4つ目は南の村を統治するグリフォンの持つグリフィスの羽、


5つ目は南西を統治するオルドスと呼ばれる大男が所持するカタスケの斧


6つ目はゴーレムの持つエクスプレスと呼ばれる大砲の形をしたもの。


そして最後、7つ目が人間によく似た種族であるブルーノブルーが持つ巨大なスピアスロワー投槍器だ。」


「じゃあ、これから後4つの聖遺物を取りに行かないと行けないのか」


「ゴン、ワクワクするな」


目を輝かせながらクルフが言うと


ゴンも同様に目を輝かせ直ぐに向かう準備に入りました。


そして、これから希望と悲劇に満ちた

彼らの冒険が今始まるのです。

ーーーーー



「寝ちゃたか」


とお母さんが僕の顔を触りなが言うと

僕は眠たそうに言う。

「お母さん、此の後人間が来て、綺麗な泉を壊しちゃうんだよね」


お母さんは慎重な声で言う

「そうだよ 宝のことを知った人間族の王 マルコフは数千もの使いを送るの、彼ら欲望に満ちていて、七神の泉の結界を壊してしまうのしかし、それが問題だったのね。

その結界が壊れたことによって1000年前に彼らの子孫が封印した魔神エムスゴル厶を封印が溶けてしまうの、そして、魔神によって全てが焦土となってしまう悲しい物語なのね。」


「あーーネタバレした」

と僕はおかしなことを言った。


「えー、いつも読んでるじゃん」


「ぷ、ハッハッハ」


母さんと僕は顔を見合わせて笑った。

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